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脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の深海魚「メヒカリ」

脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の深海魚「メヒカリ」

脂の旨みがたっぷり!
食べ方自在の深海魚「メヒカリ

緑色の大きな目が印象的なメヒカリ(標準和名:アオメエソ)は、底曳き網漁で獲れる深海魚の一種です。
サイズはやや小振りですが、旨みのある脂ののった白身が魅力で、身も骨もやわらかく、美味しくて食べやすい魚です。
これまでは知る人ぞ知る魚でしたが徐々に知名度が上がり、近年ではスーパーなどの量販店でも見かけるようになりました。

1.船上・漁レポート

水深200mがメヒカリの漁場

10月中旬の深夜3時。
秋風が吹く久慈漁港で、メヒカリを狙う底曳き船のエンジンが音を立てて動き出しました。
15トンの漁船の中央には、長々と底曳き網が横たわり、巻き上げ機にはぎっちりと曳き綱が巻かれています。
漁港からメヒカリの獲れる沖合いの漁場まで、およそ2時間半の行程です。
徐々に港の明かりは遠ざかり、小さな船室にもぐると、船底が波をきる音とエンジンの響きだけが聞こえてきました。

メヒカリは陸から離れた水深200mから600mの海底にいる深海魚です。
底曳き網漁の禁漁期である7~8月を除き、一年を通して漁獲され、夏から秋にかけて旨味が増すそうです。
漁師の話ではメヒカリは、暖かい時期にはやや浅い海域へ移動し、寒くなるにしたがって深い海域に移動するといいます。
漁師は経験を元に、目に見えない深海のメヒカリを狙います。

  • メヒカリ漁 秋風が吹く久慈漁港
  • メヒカリ漁 メヒカリを狙う底曳き船
  • メヒカリ漁 船室

水深の3倍の曳き綱が唸りをあげる

  • メヒカリ漁 漁場に到着
  • メヒカリ漁 船尾から大きな底曳き網が海に下ろされました

漁場に着いたのは、空が白んだ5時20分。
船長の合図とともに、船尾から大きな底曳き網が海に下ろされました。
それと同時に、巻き上げ機が轟音を上げ、曳き綱がどんどん繰り出されていきます。
聞けば、曳き綱の長さは水深のおよそ3倍にもなるとのこと。
水深200mなら、曳き綱は600mにもなる計算です。

底曳き網漁は、海底に沈めた袋状の網を船で引っ張り、海底付近にいる魚や貝などを獲る漁法です。
メヒカリは泳ぎ回る魚ではなく、海底に腹びれを立ててとまっている魚。
海底に並ぶメヒカリを、網が海底をなめるように進んで捕まえるという仕組みです。

陸を遠目に朝日を浴びて、網を引くこと1時間半、いよいよ網上げです。
長く伸ばした曳き綱を、今度はどんどん巻き上げていきます。
さすがに600mもあるので、曳き綱を巻くだけで30分ほどかかります。
ようやくオレンジ色の底曳き網が海から姿を現すと、船の周囲を飛んでいたカモメ達が急に騒がしくなりました。
カモメは網の中に魚がいることを知っているのです。
その証拠に、海面近くに浮上した網に沿って、カモメが一斉に海に降りていきます。
漁師はカモメのことなど気にも留めず、黙々と網上げの仕事を進めます。
何回かに分けて長い底曳き網を船へ引き上げ、ついに魚の詰まった網の底が船尾に上がりました。
網の中には、いろいろな魚が文字通りピチピチと跳ねています。
吊るし上げた網の底を開くと、船の上に魚が流れ出し、所狭しと広がりました。
そうこうしている間にも、網を綴じ、再び海に下ろす作業が進められます。
2回目の漁のスタートです。

  • メヒカリ漁 漁師はカモメのことなど気にも留めず、黙々と網上げの仕事を進めます
  • メヒカリ漁 網の中には、いろいろな魚が文字通りピチピチと跳ねています
  • メヒカリ漁 吊るし上げた網の底を開くと、船の上に魚が流れ出し、所狭しと広がりました

選別大会のはじまり

  • メヒカリ漁 選別作業はすべて手作業
  • メヒカリ漁 汚れを落としたメヒカリを手に取ると、緑色の大きな目がキラリと光りました

底曳き網に入る魚は多種多様。
水深によって入る魚は変わりますが、この日はメヒカリの他、カレイやドンコ(エゾイソアイナメ)、サバ、タコ、イカ、エビ、ツブ貝、ヒトデなど、大きいものから小さいものまで、食べられるもの、食べられないものがまぜこぜになって網に入りました。
それらを仕分ける選別作業はすべて手作業です。
お目当てのメヒカリは、15cm程度のサイズを中心にザルに集めていきます。
他の魚も売れるもの、売れないものを選別しながら魚種毎、サイズ毎にザルに分けられます。
コツコツとザルに集めたメヒカリは、海水で汚れを綺麗に流し、氷水を入れたタルに移して船底にしまわれます。
汚れを落としたメヒカリを手に取ると、緑色の大きな目がキラリと光りました。

魚がたくさん獲れるほど、選別作業は時間がかかる大仕事になります。
大漁の時は食事をとる暇もないほどで、メヒカリが8タル(250kg程)になることもあるとか。
この日の底曳き網漁は3回行われ、メヒカリは4タル分獲れました。
漁師としては、やや悔しい水揚量ではありますが、獲れた魚の中ではメヒカリが一番多く入りました。
海に出ること11時間半。14時40分に漁船は漁港に戻りました。

  • メヒカリ漁 選別作業

2.漁師の目利き

鮮度は目に出る

メヒカリの鮮度は目と身の色をみるのがポイントとのこと。
目が赤みがかっていたり、身が白っぽくなっているものは鮮度が落ちてきている証拠です。
できれば目の色が鮮やかな緑色のものを選びましょう。

メヒカリは大きくても、小さくても味は変わらないとか。
サイズが大きければ料理の幅も広がります。

料理は唐揚やフライがよく知られていますが、15cmほどのサイズなら食べ方は自在。
漁師好みはシンプルな「塩焼き」と、脂の風味がなじんだ「一夜干し」、「昆布締め」です。
鮮度が良ければ刺身もおすすめで、煮ても美味しいそうです。

船上で獲れたてのメヒカリを刺身で頂きましたが、身が締まっていて、プリプリとした食感とメヒカリ独特の脂の旨みが広がり、食べごたえもありました。
腹の黒い部分は脂が多いので取るのがポイントだそうです。
刺身の風味から察するに、昆布締めは絶品ではないでしょうか。

  • メヒカリ漁 漁師の目利き
  • メヒカリ漁 メヒカリの鮮度は目と身の色をみること
  • メヒカリ漁 船上で獲れたてのメヒカリを刺身で頂きました

3.船上での鮮度・品質への配慮

鮮度を落とさず水揚げする

鮮度を落とさず水揚げする

メヒカリ漁は深夜に出港して午後には帰港し、即日水揚げします。
沖どまりをせず、漁獲してから市場へ並ぶまでの時間を短くすることで、メヒカリの鮮度を落とさないよう配慮しています。

4.水揚げ~入札

水揚げされたメヒカリは市場で計量され、待ち構えていた仲買人たちによって、あっという間に落札、出荷されていきます。メヒカリは底曳き網漁の中でも、主役級の魚のひとつなのです。

  • 脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の深海魚「メヒカリ」水揚げ
  • 脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の深海魚「メヒカリ」水揚げされたメヒカリは市場で計量
  • 脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の深海魚「メヒカリ」待ち構えていた仲買人たちによって、あっという間に落札、出荷されていきます

5.食味訴求・レシピ

 メヒカリの唐揚げ

メヒカリの唐揚げ

  • 材料(2人分)
  • ・メヒカリ 10尾
  • ・塩・コショウ 適量
  • ・片栗粉 適量
  • ・油 適量
  • メヒカリのうろこ、頭、内臓を取り除き、流水で洗ってよく水気をふき取る。
  • 全体に塩とコショウを振りかけ、片栗粉をまぶす。
  • 170℃程度の油でカリッとなるまで揚げる。
  • 油を切って出来上がり。
    *レモンの絞り汁と塩をふりかけて、出来立てをお召し上がりください。
    *カレー塩もおすすめです!

※このページの情報は2016年11月時点のものです。

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