いばらきの食に挑戦する人たち
夢見るじっち大和田 昌幸さん(行方市)
父の代から有機農業
“夢見るじっち”大和田さんのステッカー
茨城県の鹿行地域に位置し、肥沃な土で良質な野菜が育つ地域として知られる行方市。大和田 昌幸さんは、白菜、れんこん、大根、ターサイ、にんじん、ほうれん草、さつまいも、トウモロコシ、ミニトマトなどおよそ30品目の野菜を作っています。出荷先は、主に生協です。
大和田さんが作った野菜には大和田さんの似顔絵と、大和田さんの愛称である“夢見るじっち”と入ったステッカーが貼ってあります。“じっち”とは、茨城なまりで“おじさん”を意味します。
大和田家は1600年代(江戸時代)から先祖代々続く農家で、先代(昌幸さんの父)までは、さつまいも、キャベツ、せり、ゴボウ、米の5品目を生産していました。昌幸さんが経営を引継ぐにあたって、収入を増やすために他品目経営に切り替えたそうです。
大和田さんの作る様々な野菜は、味が濃く甘みがあり、実がぎゅっと詰まったおいしい野菜ばかり。おいしさの秘訣をお聞きすると、「有機栽培によるところが大きいと思います」と大和田さん。先代から有機栽培を始め、昌幸さんは有機栽培農業を受け継ぎました。
「微生物を用いた土づくり」による有機栽培※を行っており、「北浦流域オーガニック」として有機JAS認証も取得しています。
※有機栽培…化学肥料や農薬に頼らず、堆肥などの動植物質の肥料で野菜等を作る栽培方法
「微生物肥料」を用いた土づくり
醗酵した微生物肥料
菌床堆肥
大和田さんの「微生物を用いた土づくり」とは、ご自身で考案・調合した“微生物を使った肥料”を使用して、土を作ることです。
「父の代から有機栽培で野菜を作っていますが、微生物を使い始めたのは自分の代からです。元気で健康な土づくりを突き詰めていくと、微生物の力が必要不可欠だと気付いたからです。はじめは、納豆、ヨーグルト、酒粕、ドライイーストなどを自分で調合してタンクに入れて、液体の微生物肥料を作っていましたが、今は懇意にしている資材屋さんが自分の調合イメージとほぼ同じものを作ってくれるので、それをメインに使っています。あとは、きのこにも微生物が沢山いるので、近隣のきのこ農家からしめじとエリンギの菌床堆肥を仕入れて、それも土に入れています。微生物が入ったボカシ肥※1を畑に入れて微生物が増えると、土自体が力強くなるので、土が病害虫を防いでくれるんです」
「微生物肥料の作り方を聞きにいろいろな人が来ます」と笑うのは、大和田さんの奥様 かおりさん。大和田さんが作った「微生物肥料」は、安価に作れて効果が目に見えることから、周辺農家でも評判を呼び、今では全国から作り方を教わりにやって来るほどだとか。
「芽が出て3日目、その2週間後、その2週間後…と、微生物肥料を定期的に土に入れます。昔、慣行栽培※2を行ったことがあるのですが、微生物による有機栽培で作った野菜は、慣行栽培の野菜に比べて天候にも左右されにくいことが判りました。土の力が強いと、多少悪天候でも野菜がしっかり育ってくれるんです。今では微生物肥料以外の肥料はほとんど使っていないです。微生物肥料だけあれば、おいしい野菜ができます」と大和田さん。
大和田さんの農法は、県内外の農家20名以上が実践しているそうです。
※1 ボカシ肥…有機肥料と発酵材を混ぜ合わせ、水を加え発酵させてから使用する肥料のこと。
※2 慣行栽培…化学肥料や農薬を使用した栽培方法のこと。
月のリズム栽培
大和田さんは、「月のリズム栽培」も行っています。「月のリズム栽培」とは、月の周期によって栽培方法を変えたり、害虫対策を行ったりする農法で、ドイツの人智学者“ルドルフ・シュタイナー”によって提唱された方法です。
「野菜も植物ですので、月の満ち欠けによる影響はあると思っています。例えば、『新月の後3~4日は病気になりやすいから注意する』とか、『小潮の時は肥料を吸いにくいから肥料をやりすぎない方がいい』などです。『月のリズム栽培』を用いると、病害虫へのより的確な対応ができるんです」
大和田さんのもとに相談にやってくる農業者たちにも「月のリズム栽培」を勧めたところ、効果が出ているそうです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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“夢見るじっち”大和田さんは、何を夢見ているのでしょうか。今後の展望をお伺いしました。
「やりたいことが沢山あるので、沢山夢見ています(笑)。まずは『野菜はおいしい!』ことを知ってもらいたいです。作り手と食べる人の健康を考えた作り方をすると、必然的においしい野菜ができると思っています。そのために、一次産業が元気になるように、自分が持っている情報、考えている農法などを教える営農指導のような事もやりたいです。資材高騰が続くなか、安くできて効果のある野菜の作り方を伝えていきたいです」
さらに「最近加工所を作って、漬物を作り始めていますが、野菜の加工品作りと販売にもこれから力を入れていきたい」と語ってくれた大和田さん。
大和田さんの野菜は、どれを取ってもひとくち食べれば「おいしい!」と思わず笑みがこぼれてしまうような、滋味あふれる野菜です。にんじん嫌いのかおりさんの友人も、大和田さんのにんじんは生でポリポリ食べてしまうほど好きになってしまったそうです。
インフォメーション | |
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名称 | 夢見るじっち 大和田 昌幸 | 住所 | 茨城県行方市中根532 |
お問い合わせ | TEL:0291-35-0857 FAX:0291-35-0857 |
WEBサイトURL | https://twitter.com/japanesefarmer |
その他の情報 | ※このページの情報は2023年2月時点のものです。 |
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