いばらき食材を使う料理人
HATAKE AOYAMAオーナーシェフ いばらき食のアンバサダー神保佳永さん(東京都)
HATAKE AOYAMA
東京・表参道駅から歩いて2分ほどの一等地に、「HATAKE AOYAMA」はあります。店内のテラスからはまさしく小さな畑が見え、その畑では農家から土を運び入れ、オーナーシェフ自ら配合した有機肥料で様々な野菜が育てられています。「青山に畑を作りたかったんです」オーナーシェフの神保佳永さんは言います。
「ファッションも華やかで、外人さんも多いこの街は、流行の発信源、高級というイメージがありますが、そのイメージをぶち壊したかったんです。ここに生活感のある土の香りのする店を持ちたかった」
神保シェフの料理人としてのルーツはお父さんにあります。茨城県日立市でイタリアレストランを経営していたお父さんからは、「自分の後を継いで欲しい」との思いから、子供のころから様々な教育を受けたそうです。中学生のころから厨房に立ち、市場や東京で一緒に食べ歩きをしながら、料理人としての基本を叩き込まれ、「大学に行かせるような金はない」とも言われたそうです。「今思えば、その代わりに行かせてもらった専門学校の入学金や授業料は大学と変わらないんですけどね」笑いながら神保シェフは言います。「本当は教員になりたかったんです。日曜日に休みがあって、家族そろってレジャーを楽しむような普通の家庭がうらやましかったんです。でも、家業というか、代々商売をやっているような家系だったんで、誰かが継がないといけないという気持ちもありました。それで海外に修行にも行かせてもらいました」
しかし、そのあとすぐにお父さんが他界してしまいます。「腹をくくったのはそれからです。一度日本に戻り、父の葬儀を終え、フランスに渡航して、本気で修業しました」それからイタリアへ入り、数々のグランメゾンでの修行を積みました。
2002年の帰国後、株式会社ひらまつに入社、丸の内「サンス・エ・サヴール」のオープニングスタッフとして活躍します。2005年には、浦安「ホテルエミオン東京ベイ」に副料理長として入社後、洋食総料理長に就任。2009年「Restaurant I」を立ち上げ総料理長を務め、2010年6月自身の店を立ち上げ、オーナーシェフとなりました。
「父を超えたとか、そんなことはあまり考えないです。父は自分のやり方で二店舗切り盛りして頑張ってきたということが今はよくわかります。49歳で亡くなった父の年に近くなるにつれて、そのすごさがわかるようになってきました」
HATAKE AOYAMAへの想いを語ってくれました。
「畑に行こうよ!って言ってもらえる店にしたかったんです。青山にも学校があって、街があって、生活をしている人がいる、その街にスーパーはあるけど、なんで畑や田んぼがないんだろう。じゃあ作っちゃえ!って思ったんです。畑って田舎臭いじゃないですか。それを作りたかった。生活感が感じられる何かを作りたかった」それが”HATAKE AOYAMAの原点”と言います。
テラスの小さな畑は、そんなシェフの思いを実現したもので、そこで収穫された旬の野菜は、もちろん様々な料理の食材になります。
「野菜は旬であることがすべて。その旬を感じながら食べてもらえたら、更に料理をおいしく感じてもらえると思います」
神保シェフは、この店を立ち上げる前、農家で研修を受けたとのこと。
「この畑の土は8年がかりで自分で作り上げました。農業そのものを学び、たい肥の作り方から研究して現在に至ってます」それがすなわち、食材にこだわる神保シェフの流儀なのでしょう。
茨城の食材について神保シェフは、「質がいいものが多いですね。また料理人の声にこたえてくれる生産者が多いのも魅力です。それから、生産品目が豊富なのも魅力です」と高く評価しています。
「ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、レンコン、トマト、ニンジン、コカブ、ラディッシュ、大根、白菜」と、思いつくままあげてくれました。
「本当においしいんです。市場からいいものを選んで納めてもらっていますが、まず間違いないですね。出身地だから贔屓をしているわけでなく、食のプロの目から見ても、品質の良さを評価している」と語ります。
「茨城が食材の宝庫であるのは間違いないですよ。我々料理人は旬にこだわって食材を使います。旬のものが一番おいしいからです。茨城はそんな旬のものが次から次へと生産される素晴らしい県です。夏でも冬でも途切れることがない。必ず何かがあるんです。だから北海道に次いで農業産出額第二位なんです。それを我々がもっと声高に語っていくべきだとも思います。イベントなどで呼んでもらえる機会も増えましたが、もっともっと、我々のようなプロを使ってほしいですね。イベントの中で、県民自体の食への意識を高めながら、食材の持つ力を感じ取ってもらいたいと思います」
地元での食への意識が今一つ低いことがもったいないと言います。
「いろいろなコラボレーションも可能です。和洋中のコラボ、食器などとのコラボ、地元の生産者の皆さんとのコラボ。もちろん地元の消費者の皆さんとのコラボ。地元の人が、しっかりと茨城の食材の良さを認識した上で、ぜひ、自慢をしてほしい。茨城はそれだけいいものがたくさんある県なんです」

「夢は日立にお店を持つことです」出身地である日立市についても、もっと盛り上げていきたいと言います。「日立という土地柄、大きな企業がたくさん立地していますので、社員の皆さんに地元愛をもっと持ってほしいと思っています。それを食の面からサポートしたいです。おおげさなことを言うと、食の力で日立を含めた県北地域を盛り上げて、減少してしまっている人口を盛り返してみたいですね」
その思いの原動力となっているのは、地元では珍しい本格的なイタリア料理店をはじめ、志半ばで急逝したお父さんの遺志を継ぎ、地元を盛り上げていこうとする強い意志、そして、食材そのものへの愛情なのでしょう。
インフォメーション | |
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WEBサイトURL | http://www.hatake-aoyama.com/ |
その他の情報 | この情報は平成29年2月時点のものです。 |
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