いばらきの食に挑戦する人たち
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神生バラ園 神生 潤一さん(石岡市)
植物の力を100%引き出す原点回帰の栽培
バラを育てるハウス内に設置した設備
ロサオリエンティス・カルツァークライン
神生潤一さんは石岡市の八郷地区で創業から半世紀以上の歴史を誇る「神生バラ園」を営む2代目社長。2025年にはバラ切り花生産者による品評会「第67回日本ばら切花品評会」で最高賞の農林水産大臣賞を受賞し、栽培・販売・プロデュースの三位一体で日本のバラ産業を牽引するフロントランナーです。 1250坪の敷地に佇む3棟の大型ハウスでは、潤沢な筑波山系の伏流水を使用した水耕栽培でバラ約25品種を主に栽培。ローズクリエーター木村卓功氏のガーデンローズブランド「ロサオリエンティス」のカルツァークライン、シュバルツバルト、メアリーノレックスなど日本で育種された厳選品種を主軸に、年間約40万本を市場や個人客へ出荷。それにとどまらず、他の生産者への苗の紹介や販売も担い、業界全体の底上げにも尽力しています。 ハウス内は温度や湿度をモニタリングできるIoTを導入。植物の成長や収穫量は、必要とされる栄養素のうち、最も量が不足している制限要因によって決まるという「リービッヒの最小律」に基づき、短所をなくして成長を促す精緻な栽培を行っています。 「かつては強制的に室温を上げたり、薬をかけて生産効率を良くしようとした時期もありましたが、必ず反動が出るんですよ。植物本来のパフォーマンスを100%出し切れるように、人はあくまでサポートが行き届くように徹する管理へと原点回帰しています」 その象徴が高温対策です。近年、記録的な猛暑が多くの農家を悩ませているように、夏場は40度を超えるハウスの室温がバラ栽培を苦しめています。そこで神生さんは農林水産省の「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進」を活用し、栽培コンサルタント、普及センターと共に夏秋期の施設環境改善に挑戦。ハウスの屋根や側面への遮熱材の塗布と暖房機の送風機能や専用のファンを用いた外気導入を組み合わせることで、外気温よりも5度程度、8月の施設内の気温を下げることができました。 神生さんは、コンサルタントが「1年でここまで徹底し、成果を出せる農家はいません」と驚くほどスピード感でコンサルタントの指導内容を取り入れ、施設の環境改善しました。この手法は、既存の設備に工夫を加えてパフォーマンスを高めるという、他農家にも転用可能な点にも大きな価値があります。
花束のプロデュースまで踏み込む先進的な販売戦略
ドライにしても美しいバラ
植物に囲まれる神生バラ園事務所
栽培に試行錯誤が必要な新品種や珍しい品種に積極的にチャレンジしている神生バラ園。 神生さんの真骨頂は、市場の需要を自らデザインして創出するプロデュース能力にあります。 その一つが、フィヤージュ(枝物)との組み合わせによる提案です。庭木をベースにしたユーカリやハーブなど約20品目を手掛け、バラとセットで出荷。誰が束ねても美しい花束ができる洗練されたパッケージを提案することで付加価値を高め、高単価での販売を実現しました。 「青山フラワーマーケット」など大手の生花店や仲卸との強固なネットワークに加え、著名なローズクリエーターやフローリストたちと深く連携し、近年はロックバンドX JAPANリーダーのYOSHIKIさんのオリジナルローズ「紅」の生産を担当するなど、異業種との共創力もストロングポイントの一つです。 「取り巻く環境が変化し、いいサイクルが出来ていますが、その分、プレッシャーは常にありますね。やはり相手が想定しているレベル以上を絶えず求められていますし、期待値100で来た場合、120~200で返さなければダメ。なので、付加価値の高いサービス、流行のファッション、コストカットが抜群なファミレスなど、色々な異業種やカルチャーを積極的に触れる努力もしています。人が面倒臭いと思うことを喜ぶぐらいの気持ちで挑み続けたいと思っています」
世界市場への挑戦と人を魅了する人間力
バラハウスの番「猫」と神生さん
日本のみならず世界にも進出する神生バラ園
挑戦の場は世界にも広がっています。国内需要のみに頼るリスクを回避すべく、仲卸と連携し、グアムへの輸出を確立。南アフリカやコロンビアなどの巨大産地に対し、日本からの距離の近さを活かした鮮度と確かな品質で差別化を図っています。将来的にはアメリカ本土への輸出も見据え、新たな外貨獲得の道を切り拓いています。 こうした取り組みを支える土台は、神生さんのオープンな人柄です。 「何も設計図があってここまで来た訳じゃないんです。元々、人とのコミュニケーションが楽しくて好きで、運良くここに立っている感じですよ」 行政、市場関係者、異業種や消費者など、あらゆるステークホルダーとの人脈作りに労力を惜しまず、栽培や販売の合間を縫って、自ら能動的にSNSやインスタライブなどで発信も続けて、新たなファンを獲得。その影響もあり、コロナ禍で業務用の出荷が激減したことを機にスタートした個人向けのオンラインストアも好調です。 常にポジティブに突き進む姿勢が、縮小傾向にあるバラ業界で逆境を乗り越える力になっています。
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どれほど斬新な販売を提案しても、物がなければ始まらない農業の世界。 今後の展望として神生さんが見据えるのは、激変する気候環境の中での安定供給の維持、そして丹精込めて育てた高い品質のバラを、その価値に見合う形で市場や消費者へ届け続けるルートを柔軟に確保することです。 「今も昔もこの先も、人に感動してもらう、心を動かすことのできるプロダクツを届ける姿勢は変わらないです。まずは自分がきちんと感動できる花を作ること。自分が感動したのだから、きっと他にも感動する人がいるはずだと信念を持って続けていくのが一番だと思っています」 茨城から世界へ。神生さんの挑戦は、次世代の農家への大きなエールとなり、日本の農業の未来を明るく照らしています。
| インフォメーション | |
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| 名称 | 神生バラ園 |
| 住所 | 茨城県石岡市吉生3113 |
| WEBサイトURL | https://kanobaraen.com/ |
| その他の情報 | ※このページの情報は、2026年1月時点のものです。 |
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