いばらきの食に挑戦する人たち
純粋においしさだけを突き詰めていきたい山本洋平さん(小美玉市)
サンゴク豚
小美玉市の養豚家、山本洋平さんは、茨城県の青年農業士(※)です。また、若干34歳にして茨城県養豚協会の理事を務めるなど、これからの茨城の養豚業界を担う期待の存在です。
山本さんは高校卒業後アメリカに渡り、研修プログラムを受けて養豚のノウハウを学びました。帰国後は父からサンゴクファームを受け継ぎ、おいしさと安全にこだわる豚肉の生産を目指しています。
「ストレスを軽減し、元気で健康な豚を育てることが一番大切だと考えています。良い環境で良いエサを食べて元気にスクスク育った豚の肉が美味しくないわけがありません。」山本さんは、これをモットーに、豚舎の衛生管理を徹底し、豚たちが過ごすスペースを適正な広さ、適正な室温環境に整え、可能な限り換気のコントロールを行っているそうです。
(※)青年農業士とは、農業や農村の振興のために、中核的役割を果たすことが期待できる若い農業者の意欲と、能力を高めるために市町長の推薦を踏まえて知事が認定する制度のこと。
元気で健康な豚はおいしい!
父から経営を受け継いで間もなく、山本さんは、それまで名を付けて販売していなかった自社の豚肉に『サンゴク豚』と名前を付けて販売を始めました。
「名前を付けて売るようになってから、実際に食べた人の声が聞けるようになったのが凄く嬉しいです。」と語る山本さん。
“サンゴク豚”は、デカルブ種にデュロック種をかけた豚に独自配合のエサを与えて育てた豚肉で、脂身がほんのりと甘く、赤身はさっぱりとした味わいが特徴です。
山本さんは、「おいしさ」に一番影響を与えるエサに一番こだわっています。子豚期から出荷まで一貫して植物由来のエサを与え、出荷まで通常よりも長くじっくりと育てることで、味わい際立つ豚肉に仕上がるのだそうです。
「トウモロコシを中心とした穀物を使った植物由来のエサを与えることで、豚肉特有の獣臭を抑えることができます。さらに、仕上げ時期のエサにはサツマイモを多く入れることで脂身に甘さが加わります。」
また、腸内環境が整っている豚は病気になりにくいことに着目した山本さんは、乳酸菌・ビフィズス菌等を配合したオリジナル飼料“サンゴクgrow-finish”を加えることで、元気で健康な豚が育つよう工夫しているそうです。
自分で売りたい
山本さんは、「サンゴク豚が欲しい」との声に応えるため、食肉販売業の許可を取得し、サンゴクファームの一角に山本さん手作りの販売店を開店しました。
「自分で作ったものを自分で届けたいと前から思っていましたが、やってみて実際難しいですね。いつお客さんが来るかわからないし、賞味期限が長いものではないので、用意しておいてロスになってしまうものも少なくないです。」
一方で、小美玉市の“ふるさと納税”のお返し品としてサンゴク豚が採用され、売り上げが大きく伸びたそう。また、茨城空港の玄関口にある『空の駅そ・ら・ら』のオープンに際して加工品開発の依頼をされ、小美玉市の特産品であるニラとキャベツ、そしてサンゴク豚を使った『サンゴクぎょうざ』やメンチカツの販売を開始しました。
「豚肉はそのままで食べるのが一番美味しいと思っているので、加工品の開発は今まで取り組んできませんでしたが、販売店で肉をカットしているとどうしても出てしまう端の余り部分を何とかできないかと思っていたので、良かったです。」
“サンゴクぎょうざ”は茨城の厳選ギフトカタログ“いばらきプレミアム商品カタログ”にも採用され、県内外からも高い評価を受けています。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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山本さんは近年、デカルブ×中ヨークシャー種の豚肉『サンゴク豚プレミアム』の生産を始めました。中ヨークシャー種とは、昔は多く生産されていた豚で、味は極上ながら身体が小さく、生産性の低さから現在生産しているところはほとんどありません。
「もっともっとおいしい豚肉はないかな…と、いつも考えています。中ヨークシャー種も今後増やしていきたいし、いつかは黒豚も試してみたい。生産性が低くても、純粋においしさだけを突き詰めていきたいです。」と語る山本さん。今後の更なる活躍が楽しみです。
インフォメーション | |
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名称 | サンゴクファーム | 住所 | 茨城県小美玉市世楽633 |
お問い合わせ | Email:info@sangokufarm.com TEL:0299-53-0100 |
WEBサイトURL | http://www.sangokufarm.com/index.html |
その他の情報 | この情報は平成28年2月時点のものです。 |
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廣原賢さん