PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

JA常総ひかり 園芸部メロン部会照内 康宏さん(八千代町)

JA常総ひかり 園芸部メロン部会 照内 康宏さん(八千代町)

味と品質にこだわるメロン作り!

八千代町のメロン

タカミメロン

カットしたタカミメロン・タカミレッド

 茨城県は、メロンの生産量日本一を誇るメロンの一大産地です。
 茨城県のメロンが大きく産地化したのは、昭和37年に八千代町と旭村(現 鉾田市旭地区)でプリンスメロンを導入したことが始まりです。
 茨城県西部に位置する八千代町は、鬼怒川流域の肥沃な土地と温暖な気候に恵まれ、「プリンスメロン」をはじめ、果皮が黄色い「キンショーメロン」など様々な品種のメロンが生産されていますが、縦長の形で果汁たっぷりの「タカミメロン」の生産が特に盛んです。
 今回は、八千代町でメロンの生産を行う「JA常総ひかり園芸部メロン部会」の部会長(2021年時点)を務める照内 康宏さんにお話をお伺いしてきました。

主に「タカミメロン」を生産。希少品種も。

トンネル栽培を行う照内さんのタカミメロンの圃場トンネル栽培を行う照内さんのタカミメロンの圃場

圃場のタカミメロン圃場のタカミメロン

 JA常総ひかり園芸部メロン部会(以下 メロン部会)の部会員は現在約40名(2021年時点)。タカミメロン、タカミレッドをはじめ、プリンスメロン、キンショーメロン、クインシーメロン、アールスメロンに、近年見かけることがほとんどなくなった希少なホームランメロンなども生産しています。
 八千代町でタカミメロンの生産が盛んになった理由は、「タカミメロンが八千代の土に適していること」、さらに「露地栽培(ビニールハウスを建てずに畑で栽培する技術)が可能であること」と照内さんは言います。
 「露地栽培は広い栽培面積を確保できるうえ、毎年違う土地で栽培が可能なため、連作による土壌病害を軽減できます」と照内さん。メロン部会の作るアールスメロン、クインシーメロン以外のほとんどのメロンは、露地栽培の技術のひとつ「トンネル栽培」という、畑をビニールなどでトンネル状に覆って栽培する方法で生産しており、タカミメロンの出荷量はメロン部会の全出荷量の約6割を占めています。

タカミメロン、キンショーメロン、プリンスメロンタカミメロン、キンショーメロン、プリンスメロン

カットしたキンショーメロンカットしたキンショーメロン

照内さん 「『タカミメロン』は果皮に網目のあるネット系のメロンで、縦長の形。果汁たっぷりですっきりした甘さが特長です。5月下旬にハウスものの出荷が始まり、露地ものの本格出荷は6月上旬~7月上旬まで(毎年の気象条件により前後する)。果肉にしまりがあるので日持ちもします。『プリンスメロン』は果皮に網目の無いノーネット系のメロンでツルっとしていて果肉は赤く、とにかく甘い。カットしなくてもプリンスであるとわかるくらい甘い香りがして、メロンの中では一番香りが強いと思います。『キンショーメロン』は、鮮やかな黄色い果皮のノーネット系メロン。果肉は白くてシャキシャキしていてすごく甘い。うちの子供は他のメロンは食べないのにキンショーメロンだけは大好きでよく食べています。『ホームランメロン』は、ノーネット系で果皮も果肉も白く、追熟すると口の中で溶けるような柔らかさになる甘いメロンで、うちの部会では現在1名しか作っていない希少な品種です。」

 照内さんのご自宅の冷蔵庫で冷やされていたキンショーメロンをいただきましたが、食感はパリッしていてとても甘く、爽やかな香りがあとを引く味わいで美味でした。

味・品質へのこだわり

メロンの葉から染み出た露のあとは、木が根からきちんと水を吸えている証拠。これが現れる木は健康状態が良いのだそう。メロンの葉から染み出た露のあとは、木が根からきちんと水を吸えている証拠。これが現れる木は健康状態が良いのだそう。

 「メロンは嗜好品になるので、メロン部会で特に重視しているのは食味(味)と品質です。」と照内さん。
 1月頃に種を蒔き、2月中旬に畑に苗を植える定植を行い、3月中旬に手作業もしくはミツバチを使って受粉を行う着果作業をしてメロン栽培が始まります。「定植から5月の出荷までは毎日換気作業。換気を1度でも怠ると全滅してしまうこともあるので、2月から5月までは一切気が抜けないですね。」と照内さん。
 「栽培面で一番重要としているのは、“換気”と“着果節位(ちゃっかせつい)”です。“着果節位”とは、葉の状態を見て玉を付ける位置を決めることで、良いメロンができるかどうかを左右する重要な作業です。基本的には根から数えて14~15枚目の葉の先に玉を付けると良いメロンになると言われますが、葉が小さければ17枚目の先に付けたり、それぞれの葉の大きさを見ながら玉の位置を決めていきます。これは経験を重ねないと判断できない難しい作業ですが、メロン栽培の大きなポイントですね。」
 また、接ぎ木をしないでメロンを育てる“自根栽培”もポイントだそうで、カボチャ等の根にメロンの木を接ぎ木すると玉の数が増えるなどと言われますが、メロンはメロンの木で育てるのが一番おいしいのだそうです。

“糖度検査”を実施する農協職員“糖度検査”を実施する農協職員

過去の目揃え会の様子過去の目揃え会の様子

 栽培技術に関しても、部会員間のばらつきを無くそうと、技術の共有や土づくりなどを部会全体で取り組んでいるそうです。
 「自分たちだけで判断するのではなく、種苗会社の方々を招いて栽培講習会を行ったり、部会員の圃場を皆で見ながら現地講習会を開いたりしています(※)。出荷の直前には市場関係者を招いて目揃え会を行い、部会員全員が同じ規格で出荷できるように規格のすり合わせなどをします。」

 また、出荷の3日前にはJA常総ひかりの担当者が各生産者の圃場に向かい、出荷予定のメロンをカットして糖度と食味をチェックする“糖度検査”が実施されます。ここで職員の合格をもらえなければ出荷はできないのだとか。こうした生産者の並々ならぬ努力の結晶が、毎年6月に出荷されていくのです。

※2020年、2021年は新型コロナウイルスまん延防止のため、講習会は実施していません。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

照内 康宏さん

夢~さらなる挑戦~

 照内さんに、メロンの選び方、食べ方と、今後の展望をお伺いしました。

 「選び方は、持った時にずっしりとした重みがあり、ネットの編目が細かく入っているメロンがおすすめです。また、メロンは追熟する果物ですので、食べ頃になると完熟の目安として、甘い香りがしてきて、メロンのお尻の部分を触ったときに少し弾力がある時に食べていただけるとおいしく食べられると思います。注意点として、購入後すぐに冷蔵庫に入れてしまうと追熟が遅れてしまいますので、購入後は常温で保存していただき、前述のように食べ頃になったら冷蔵庫で3時間ほど冷やして食べていただければと思います。
 また、メロンは皮に近くなるほど甘みが減っていくので、果皮と果肉の間にナイフを入れ、ひとくちサイズにカットして食べると甘みが均等になります。食べきれないときは冷凍するとシャーベットやスムージーとしても楽しめますよ。」
 「今後の展望は、八千代のおいしいメロンをたくさんの人に知って、食べていただきたい。コロナが落ち着いたらそのためのPR活動を精力的にしていきたいです。また、八千代町には白菜やレタス、キャベツなどの野菜も多く栽培され、果物はメロンに続き、梨の出荷も7月下旬頃から始まります。消費者の皆様には、野菜や果物をたくさん食べることで、生産農家を応援していただければ嬉しいです。」

 メロン部会のタカミメロン・タカミレッドは、2019年から香港やシンガポールに向けて輸出を行っているそうです。国内のみならず、八千代のおいしいメロンは世界へ。照内さんたちメロン部会の挑戦はまだまだ続きます。

JA常総ひかり園芸部メロン部会のメロンを買えるお店
JA常総ひかり 旬彩・やちよ農産物直売所
住所:茨城県結城郡八千代町若1306
TEL:0296-30-3011
FAX:0296-30-3012
JA常総ひかり やすらぎの里しもつま 農産物千代川直売所
住所:茨城県下妻市大園木2697
TEL:0296-30-7660
FAX:0296-30-7661
オンラインショップ
JA常総ひかりオンラインショップ「ひかりマルシェ」
インフォメーション
その他の情報 ※このページの情報は2021年5月時点のものです。

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