PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

自然薯の荒井農産荒井 好夫さん(古河市)

自然薯の荒井農産 荒井 好夫さん(古河市)

事業は継続なり!

自然薯のパイオニア

掘りたての自然薯

作業する荒井さん

 自然薯(じねんじょ)は、「山菜の王者」とも言われる日本原産の野生種で、山芋と呼ばれる長芋、大和芋などとは別物です。もちのような粘り気の強さと質の高さで、自然薯のとろろめしは絶品です。

 古河市にある「自然薯の荒井農産」は、自然薯の種芋作りから生産・販売までを一手に手掛け、「おいしさ」と「安全・安心」な自然薯作りにこだわり、生産をしています。
 代表の荒井好夫さんは『自然薯のパイオニア』として県内でもいち早く自然薯の栽培・販売を始めました。
 「もともと自然薯が大好物だった」と言う荒井さん。大工を辞め、自然薯生産へと大きく方向転換したのは平成13年のことでした。
 栽培技術は、県内の自然薯栽培の第一人者である北茨城市の山縣 繁一氏の元で1年間学び、その学びを基に、荒井さん独自の栽培技術を確立していきました。

荒井農産のじねんじょ

トラックと荒井さん

荒井農産の自然薯農場

 「始めの7年間は本当に苦労しました。栽培は順調だったのですが、販売の面で。毎日近隣の国道沿いにテントを立てて自然薯を並べて売ったのですが、全く売れない。自然薯は1本2,000円以上と安くないものなので、見に来ても買わなかったり、ひやかされたり、散々でした。」

 このままではいけないと悟った荒井さんは、出張販売をやめ、自宅で販売を行う決意をすると共に、インターネットによる注文を受け付けるため、自社のホームページ(以下:「HP」という。)のリニューアルを行いました。

 「そこ(HP)に、自然薯の生産理念から土作り、栽培方法、栽培技術など何から何まで私の思いや、持っているノウハウを全て書いたんです」

 すると、首都圏の飲食店を中心に、ポツリポツリと問い合わせが入るようになりました。「インターネットの世界は特に信用されにくいじゃないですか。でもHPを見て信用してくれて、問い合わせたという声をたくさんいただいて」と荒井さん。そのうちに、問い合わせに対応できなくなるほど注文は増えていったそうです。今では、18,000平米の農場で作付けした、芋苗を含む約3万5千本の自然薯が、毎年完売してしまう程となりました。

腐葉土堆肥にこだわる

腐葉土堆肥に籾殻くん炭を混合している様子腐葉土堆肥に籾殻くん炭を混合している様子

籾殻くん炭作り籾殻くん炭作り

 荒井さんの自然薯は、すりおろすとまるでもちのような弾力と粘りがあり、切るときはハサミを使います。味はまろやかで、優しい土の香りがします。
 「うちの自然薯は、この粘りと風味が別格です」と荒井さん。粘りのある自然薯を作るには、水はけの良い環境で育てることが大切で、荒井さんは試行錯誤を重ねて良質な川砂を使うことを考案し、実践して、粘り、風味、肌目、三拍子揃った芋ができるようになったといいます。長年悩まされていたという害虫対策も、もともと使っていた腐葉土堆肥に籾殻くん炭を混合して使うという方法を実践。以来、害虫に悩まされることはほとんどなくなったそうです。

 常に栽培方法を研究し、効果の上がったものは配合の分量に至るまで惜しげもなくHPに公開している荒井さん。事実、全国の自然薯生産者から栽培の悩みを相談されることも少なくないのだそうです。
 「競合が増えてしまうのでは?」と質問すると、「全国的に自然薯の質が上がって、良いものが沢山できれば自然薯自体のブランド力も上がりますし、そうなればいずれその恩恵が(自分に)返ってくると思うんですよ」と笑います。

 荒井農産の自然薯は、有機質肥料を使用し、化学肥料や農薬の使用量は茨城県栽培基準の1/2に減らしていることから、「茨城県特別栽培農産物(※)」に認定されています。

※茨城県特別栽培農産物…化学肥料や化学合成農薬を削減するなど一定の条件を満たして生産された農産物を『特別栽培農産物』として茨城県が認証する制度。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

荒井 好夫さん

夢~さらなる挑戦~

 荒井農産では、荒井さんの息子さん2人を含めた20代から40代の若者達5名が、研修生として自然薯作りを学んでいます。荒井さんは、「平成28年頃から若手の人材育成に力を入れはじめた」と言います。

 「事業は、継続してこそ“事業”です。継続していくためには、若手の後継者が必要不可欠です。『自然薯』という作物は、若者にとっても興味が惹かれる作物のようで、人材の募集をかけると全国から希望者が集まってくれます。せっかくそうして集まってくれた者たちに、より魅力ある仕事として自然薯の真価を伝えていきたい。私がまだ元気なうちに、あらゆるノウハウを継承して、サポートをしてやりたいと思っています。」

買えるお店
じねんじょの荒井農産
住所: 〒306-0112 茨城県古河市東山田1815-205
TEL:0280-78-0642
インフォメーション
名称 荒井農産
住所 〒306-0112 茨城県古河市東山田1815-205
お問い合わせ TEL:0280-78-0642
WEBサイトURL http://arainousan.com/
その他の情報 ※この情報は2019年2月時点のものです。

今、おすすめの記事

TOP