いばらきの食に挑戦する人たち
ドロップファーム三浦綾佳さん(水戸市)
ドロップファームの美容トマト®
ドロップファーム 美容トマト
水戸市成沢町に『ドロップファームの美容トマト®』というフルーツトマトを作る女性農業者達がいます。株式会社ドロップは、代表の三浦綾佳さんをはじめ、多くの女性スタッフが活躍する会社です。同社では、トマトの栽培からブランディングや販売までを女性ならではの視点で行っています。
美容トマトは、アイコ、イエローアイコ、フルティカ、小鈴の4種類の栽培品種からなるトマトのブランド名です。三浦さんらの作るトマトは、時にはケーキを入れるパッケージに包まれて都内有名百貨店に並び、時には近所のスーパーでトマトのキャラクターが入ったかわいらしいパッケージで販売されるなど多様な販売方法で、女性を中心に大変人気を集めています。
農業とは無縁の世界から見えた、農業の可能性
ドロップファーム 三浦綾佳さん
ドロップファーム
これまで東京で広告代理店を立ち上げ、農業とは全く関わりのない業界で働く中で、出産を機に「農業」という仕事に猛烈に興味が沸いたという三浦さん。
「出産を機に、農業は出産後の女性でもキャリアアップを目指せる職場になり得るんじゃないかと思いました。そんな時にアイメックという農法に出会ったことが就農の決め手となりました。」
夫である三浦浩さんの叔父が水戸で農業を営んでいたことから、新規就農にあたり、様々な疑問を相談したそうです。
「茨城の野菜はよく目にしていて、すごく美味しいことは以前から知っていたので、茨城なら寒暖差もあり、おいしいトマトができるだろうと思いました。水害が少ないのも決め手でしたね。でも決定的にここだ!と思ったのは農地を見に来た時に、この大自然の中で子供を育てられたらどんなに素敵だろうと思ったことです。」
三浦さんは2015年に東京から家族で移住し農場を開設しました。トマトのハウスには、環境の見える化(警報・モニタリング等)や遠隔制御、グループ内のコミュニケーションなどの機能を備えた農業クラウドサービスを導入しました。
「ハウス内の環境が『見える化』していることは、新規就農者である私達の力強い味方ですね。1年目は水の加減がわからずに水やりが不足してしまい、糖度は高いのですが、分量が取れない結果になってしまいました。これを教訓として、水の量と収穫量を少しずつ調整しました。『見える化』しているメリットは、こういうところに表れてくると思います。」
実際に、三浦さんは、約1年で自身の目指す理想のトマトづくりを習得されたそうです。翌年からは、この『見える化』のメリットと、信頼できる従業員の力を借りながら、品質の維持を実現しています。
アイメック®という農法
ドロップファーム
ドロップファーム 美容トマト
ドロップファーム
三浦さんが惚れ込んだアイメック®という農法は、土耕でも水耕でもない農法で、コンタクトレンズ等に使用される“ハイドロゲル”でできたフィルムに苗を植え、そこに根を張らせるというものです。
フィルムに水が取り込まれ、保持され、流失しないため、使う水の量が通常のトマト栽培の10分の1程度で済むそうです。このフィルムは人体に安全な成分から作られている上、微生物や紫外線などにより土壌中で徐々に分解され、炭酸ガスと水になり、燃やしてもダイオキシンが出ません。
「私達がこだわるのは“味”です。これまでたくさんのトマトを食べてきましたが、アイメックで作るトマトが最高に美味しいものでした。アイメックで作るトマトは、雑味やエグみが無いんです。それは数値でも証明されています。フィルムにはナノサイズの穴が空いていて、そこめがけてトマトが必死に細かい根を張ります。一生懸命その穴から水と養分を吸うことでトマトが美味しくなると思っています。」
三浦さん達は、潅水の2時間後にフィルム下の水を確認し、トマトのベッド内の養液濃度をノートに記録しています。これによって、状態の微妙な変化にもすぐに気がつくことができるきるのだそうです。
作ってから売るのではなく、売り先に合わせて作る
ドロップファーム 美容トマト
ドロップファーム 美容トマト
ドロップファーム 美容トマト
三浦さんは、農業はビジネスとしての可能性も無限大だと考えています。作ってから売り先を決めるのではなく、売り先を決めてからどういう商品を作るか決めるといいます。広告代理店時代に培った商品ブランディングのノウハウをそのままトマトに活かしました。
「まずは売りたい商品の販路と客のニーズ等をしっかりと捉える為、市場調査を行います。スーパーや百貨店に行き、どんな商品がどんな場所でどんな価格帯で売られているのか。バイヤーさんにもどんどん話を聞きます。そこに来ているお客さんが、どんな人でどんなものを買っていくのか、徹底的に調べたうえで、商品のターゲットを設定して、店頭に置いてもらう為にこんな商品を作ろう、という流れですね。前職の経験から、ブランディングには自信があります。徹底的に市場の調査をしてから商談に入るので、自信を持って提案をさせていただけますし、売り先に合わせてパッケージも変え、販売先に合わせた商品を提供します。スーパーには、子供が覚えやすいようなパッケージを、百貨店には、高級感を演出できるようなパッケージを、といったようにです。パッケージデザインは、ドロップのスタッフ皆でアイディアを出し合って、その結果をデザイナーに伝えて作ってもらっています。お客様との密なコミュニケーションがドロップファームの商品を育てていると思います。」
『美容トマト』の出荷は11月~7月まで。それ以外の時期は、品種のブレンド比率にもこだわった、無添加の『美容トマトジュース』が代わりに並びます。店頭に『美容トマト』やその関連商品を切らさずに置いておくことも、三浦さんのブランディング戦略のひとつです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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「元々、私自身が出産を経験して、女性が出産しても働きやすいのは“農業”だと思ってこの仕事を始めました。まずは、子育て世代の女性が働きやすい環境を追求し整えていきながら、人材育成も含め、女性がキャリアアップを目指せる職場にしていきたいですね。また、新規就農者の“モデルケース”として私達の取組を積極的に情報発信して、若い世代の方達に“こういう形の農業もある”と伝えて新規就農者を増やしていきたいです。農業は観光業や飲食業をはじめ、大きく言えば街づくりまで、ビジネスとしての広がりがすごくある分野だと思うんです。やりたいことは尽きませんが、今は生産が追い付いていない状況なので・・・規模拡大も含めがら、目の前の生産をしっかり行っていきたいですね。」
キュートなルックスからは想像もつかないぼど熱い情熱と志を持つ三浦さん。農林水産省の農業女子プロジェクトの一員でもあり、平成28年度「農業の未来をつくる女性活躍経営体100選」("WAP100")にも選定されました。三浦さんの描く、これまでの枠にとらわれない農業の新たな展開に目が離せません。
インフォメーション | |
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名称 | 株式会社ドロップ | 住所 | 茨城県水戸市成沢町870-7 |
お問い合わせ | TEL:029-246-6711 FAX:029-246-6712 |
WEBサイトURL | https://dropfarm.jp/ |
その他の情報 | この情報は平成29年3月時点のものです。 |
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