PICK UP / 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

良質なうどを通年で出荷 桜井一夫(つくば市)

良質なうどを通年で出荷 桜井一夫

うど作り 五十年!

真っ白なうど

 室町時代には宮廷で食べられ、江戸時代には贅沢品として扱われたとされるうど。つくば市のうど農家、桜井一夫さんは、通常ならば冬から春にかけて出荷する真っ白なうどを、通年で出荷しています。  桜井さんの作るうどは、いわいる「東京うど」で、「山うど」と違い真っ暗な地下で栽培するために、真っ白で、食感もやわらかく、品評会でも高く評価される品質を誇ります。香りが良く、繊維が豊富なのにアクが少ない為、様々な調理にご利用いただけます。  桜井さんが農業学校を卒業してすぐ、農家であった親戚のおじさんが、これから就農しようとしていた桜井さんに「野菜が採れない時期でも育つから」と何本かのうどの苗をくれたのが、うど作りのきっかけだそうです。おじさんに栽培方法を教わりながら、試行錯誤でうど栽培を行った桜井さん。まずは地元で販売を始めると、桜井さんのうどは評判になりました。  しかし、時が経つにつれ、うどは生産過剰になり、値段が下がり始めてしまいます。  そんな時、「東京にはもっと凄いうどがある」と聞いた桜井さん。さっそく東京に出向き、今までに見た事の無かった、真っ白な「東京うど」に出会います。  「これを作りたい。と思いました。これを作らなければ、東京の市場では勝負にならないと。その為には、まずは真っ白なうどの種を手に入れなくてはなりません。しかし、どこの誰かもわからない私に、なかなか種を譲ってはもらえませんでした。」  なにがなんでも真っ白なうどを作りたかった桜井さん。情報を集め、たくさんの人に出会い、出会いが巡り巡って、ようやく埼玉県のうど部会長から、種を譲っていただけることになりました。

地上に地下室を作る!

 やっと真っ白なうど作りができると意気込んで栽培を始めた桜井さん。しかし、種をいただいた埼玉県と茨城県とでは、土や気象条件が異なり、同じ方法では栽培出来ないことに気づきます。  桜井さんは、考えに考え抜いた結果、その昔、東京や埼玉で主流となっていた"地上に地下室を作る"という方法をとりいれ、それを茨城の土地に合わせて桜井さんが設計し、設備を造っていきました。  「うどは専門書が無いんです。だからやってみて、試行錯誤しながら進んで行くしかない。栽培というより、技術部門ですね。私は、就農した頃うどの種をくれたおじさんの教えに習い、あとは設備と技術と経験が揃ってやっとでき上がったんです。」  こうして、桜井さんオリジナルの地上の地下室「室(ムロ)」が完成しました。

ワンランク上のものを!

 桜井さんは何度も失敗を繰り返し、ようやく「室」でのうど栽培に成功しました。その後は、難しいといわれていた真っ白なうどの通年出荷を実現。今では年間1万ケースを出荷。業界を代表するうど農家となりました。  うど作りで大事なことのひとつは、「室」に入る前の畑で育つうどの土作りだと言います。「より良いもの、おいしいものを作りたいんですよ。その為には畑を選んだり、技術を身に付けたりしなければならない。失敗して、お金がなくなる事もある。農作業は、教科書通りにはいかないし、良いものは簡単には作れません。でも、だから面白い。根っから農業が好きなんですよね。」  うど作りを初めて50年、改めて農業が好きだと笑う桜井さんは、より良いうど作りを目指し、今も、試行錯誤を続けています。  

つくばの野菜生産直売所

 桜井さんは、平成2年に「つくばの野菜生産直売所」という農産物直売所を創設しました。  つくば市近郊の農家さんが出荷し、独立採算制で"農家一人一人が食べていけるように"との想いで営むこの直売所は、農家さんを少数精鋭にして高い意識を持ってもらい、高品質なものを提供しているので、店内はその野菜の味を知っているお客さんで賑わっています。

うどのいろいろな食べ方

うどの食べ方は、酢みそに付けていただくというのが定番ですが、最近では、色々なレシピでうどを美味しく食べられます。 ・うどのきんぴら ・うどのカレーマヨネーズ炒め ・うどのドレッシング和え ・うどの漬物

販売時期
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夢~さらなる挑戦~

 桜井さんには、後継者がいます。息子の一彦さんです。一彦さんは大学卒業後、4年間サラリーマンをしたのち実家に帰り、お父さんの後を継ぎたいと申し出たそうです。  「昔は農家の息子は農家を継ぐものだった。でも今は、農家の息子でも違う職業に就いてしまう事が多い。そんな中、自分の息子と一緒に働けるのは、本当に嬉しいですよ。これまで築いてきた経験や技術は他人には売れないけど、息子になら教えられる。早く一人前になってもらって、引退したいです(笑)。」  桜井さんが50年かけて築いて来たうど作りの技術は、次の世代に受け継がれています。

買えるお店
つくばの野菜生産直売所
住所: つくば市下原507-8
TEL: 029-836-1610
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インフォメーション
名称 つくばの野菜生産直売所
住所 つくば市下原507-8
お問い合わせ TEL: 029-836-1610
FAX:
その他の情報 ※この情報は2012年度時点のものです。

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