いばらきの食に挑戦する人たち
YAMAGUCHI farm株式会社山口 貴広さん(稲敷市)
「メガファーム育成事業」実施者第1号
平野一面に広がるYAMAGUCHI farmの田んぼ
茨城県は、関東一の米どころです。久慈川、那珂川、小貝川、鬼怒川、利根川などの水の潤いにあふれ、気候も温暖な土地柄から、古くより稲作が盛んに行われてきました。
茨城県南部に位置する稲敷市は、経営耕地面積の約9割を田んぼが占める稲作地帯。稲敷市にある山口ファームは1839年に創業した米農家で、「安全で美味しい米づくり」をテーマに代々米作りを行ってきました。
九代目・山口 貴広さんは、これから先の稲作経営を見据え、田んぼが平野一面に広がる稲敷地域の特性を活かし、「どうせやるなら100haくらいやりたい」と考えていました。
そんな時、茨城県が「儲かる農業」の実現に向けて開始した「茨城モデル水稲メガファーム育成事業」を知り、「やらない手はない」と2018年に同事業に参加することにしたそうです。
YAMAGUCHI farm株式会社 山口 貴広さん
「まず、メガファームエリアの地主、耕作者への周知活動から始まりました。何者かもわからないのにいきなり土地は貸してはくれませんので、何度も何度も説明会を開き、地主さんを訪問して周りました」
1年目2年目と周知活動を続けて土地を借り、3年目の2021年、100名以上の地主からの許可を得て、ようやく107haのメガファームで稲作ができるようになりました。これは「茨城モデル水稲メガファーム育成事業」の実施者第1号だったそうです。
規模拡大に伴い、山口さんは同事業開始の翌年に会社を法人化し、「YAMAGUCHI farm 株式会社」を設立。引き続き「安心で美味しい米づくり」を行うため、JGAP認証※も取得しました。
※JGAP認証…日本GAP協会によるGAP(Good Agricultural Practice 農業生産工程管理)認証。食の安全や環境保全に取り組む農場、生産者団体を協会が認定した第三者機関が審査・認定しています。
「スマート農業」で更なる効率化!
自動運転田植え機を操作する山口さん
収量コンバイン
メガファームでは、耕耘、田植え、稲刈り、いずれの作業も「効率化」が重要となります。山口さんは、水田の周りの土手を崩して田んぼの枚数を減らしたり、塩ビ管を入れて水の調整をしやすくしたりなど圃場の整備を行いつつ、「スマート農業加速化実証プロジェクト」への参加も決めました。
「メガファームでの稲作の一番のメリットは、『まとまった場所でできる』ということです。田んぼが点在していると、移動だけで大幅に時間が取られてしまいます。稲敷市の稲作は、他の地域に比べて効率化が進んでいると思いますが、メガファームとなると更なる効率化が必要と感じて、スマート農業にも取り組みました。
“自動運転田植え機”と“ロボットトラクター”、元々使っていた“管理ソフト”の3つの軸でスマート農業を行っています。ロボットトラクターは、田んぼを記憶させることで、耕耘(こううん)、代掻き(しろかき)※を無人で行うことができます。自動運転田植え機は特に効率化が図れると感じています。通常、田植えは1チームに3人必要ですが、自動田植え機があると1チーム2人でも稼働できますし、機械に乗りながら昼飯を食べることもできます」
気になるお米の販売先は、6割以上を飼料米として出荷し、2割は米穀集荷業者、残り2割で契約企業や輸出、直売所等に出荷しているそうです。
※代掻き…田植えの前に行う重要な準備で、田んぼに水を入れ、土を砕いて均平にしていく作業のこと。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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「事業開始当初は“目標100ha”としてやってきましたが、やっていくなかで“100haはまだ途中”と思うようになりました。メガファームの取り組みをこの地域全体で取り組んでいけたら、それが稲敷の強みになると考えています。200haでも300haでもどこまででも増やしていけると思います。うちは5名のスタッフで107haの米を作っています。田んぼが点在している地域では、この人数でこの規模の取り組みは無理です。地域の立地を活かした米作りを行い、その取り組みを稲敷のブランドにして行きたいと思っています」
山口さんの挑戦はまだ始まったばかり。これからの山口さんから目が離せません。
インフォメーション | |
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名称 | YAMAGUCHI farm株式会社 | 住所 | 茨城県稲敷市市崎1600 |
お問い合わせ | TEL:0299-79-3330 |
WEBサイトURL | http://yg-farm.com/ |
その他の情報 | ※この情報は2022年8月時点のものです。 |
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