PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

野菜工房木村木村 暁さん 匡志さん(坂東市)

野菜工房木村 木村 暁さん 匡志さん(坂東市)

味にこだわるとうもろこし作り!

株式会社野菜工房木村

野菜工房木村 木村 暁さん野菜工房木村 木村 暁さん

 茨城県坂東市にある野菜工房木村は、白菜、レタス、キャベツを主力にとうもろこし、ねぎなどを木村暁(さとる)さん、裕子さん、息子さんご夫婦の匡志(まさし)さん、奈津美さんの家族4人で生産しています。
 野菜工房木村の「とうもろこし」は、毎年6月10日頃から6月いっぱいという短期間に直売のみで販売されます。「甘い!」「先まで実がぎっしり!」と味に定評があり、毎年多くのリピーターが楽しみに待っている大人気商品です。
 同工房では、栽培しているすべての作物において「エコファーマー認証(※1)」を取得しており、堆肥などの有機質肥料を使った土づくりを基本に、化学肥料や化学農薬の使用を極力抑えた環境にやさしい農業を行っています。

(※1)茨城県が認定している環境にやさしい農業に取り組む農業者のこと

白菜を作っているからこそ、おいしいとうもろこしができる!

野菜工房木村の白菜野菜工房木村の白菜

 木村さんがとうもろこし作りを始めたきっかけは、主力である白菜の輪作(※2)のためだそうです。
 「“春白菜をもっと上手に作りたい”と思ったのがとうもろこし作りを始めたきっかけです。3月から4月に出荷する春白菜の定植(畑に苗を植えること)は12月の寒い時期に行うため、多くの肥料を与えなければなりません。しかし、肥料を多く与えると白菜が吸いきれなかった養分やミネラルが土に残ってしまうのです。肥料が無駄になってしまうことも嫌で、土に残った養分で何かできないかと家族で話し合ったところ、とうもろこしがベストだと判断して栽培を始めました。
 春白菜はトンネル(※3)で作るので、白菜収穫後のトンネルをそのまま利用してとうもろこし作りができるというのも大きなポイントでした」

(※2)同一耕地に一定年限をおいて異なる種類の作物を交代に繰り返し栽培する農法のこと。交互に別の作物を作ることで、地力の低下や病虫害の発生を防ぐ効果がある。
(※3)畑のウネをビニールなどでトンネル状に覆って作物を栽培する方法のこと

野菜工房木村のとうもろこし野菜工房木村のとうもろこし

 できあがったとうもろこしを近所の方々に味見してもらったところ、「とにかく甘い」「こんなに甘いとうもろこしを食べたことがない」など、予想以上の反応がありました。「なぜほとんど肥料も入れていないのに甘いとうもろこしができるのか」調べた木村さんは、ひとつの結論にたどり着きました。
 「今までは肥料をやりすぎていました。白菜作りで土に残った少ない栄養分だからこそ、それが“甘さ”につながることが分かりました」
 この結果を機に、春白菜に与える肥料の量を大きく変え、必要量ギリギリの量まで減らしてみると、とてもおいしい白菜ができました。とうもろこしも必要最低限の肥料を与えることで、驚くほど甘いとうもろこしの味を維持しています。

味にこだわる

先まで実が入ることも珍しくはないのだとか。先まで実が入ることも珍しくはないのだとか。

 野菜工房木村のとうもろこしは、味にとことんこだわります。主力品種は「恵味」や「ゴールドラッシュ」。完全熟成させた良質な堆肥を使い土づくりを行い、化学肥料や農薬はできる限り使いません。このほか、甘さに直結するのが収獲の時間帯。「朝採り」することがポイントだそうです。
 「とうもろこしは、日中、気温が高くなると光合成をして実を成長させようとエネルギー(糖分)を使ってしまうので、糖分が減少してしまいます。 しかし、夜になり気温が下がると昼の間の光合成で得たエネルギーを糖分に変えて蓄えます。だから、朝が一番甘い。うちのとうもろこしは6月の午前4時頃から収穫作業に入り、5時半ごろには収穫を終えるよう気を付けています」
 また、とうもろこしの甘さのピークは2~3日しか保たれないことから、甘さがピークの時に順次出荷できるよう逆算して3日ずつずらして種を蒔き、収穫期には常に甘いとうもろこしを毎日出荷できるようにしているそうです。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

野菜工房木村 木村暁さん

夢~さらなる挑戦~

 木村さんに、今後の展望をお伺いしました。
 「とうもろこしを始めるまでは、市場にしか出荷していなかったのでお客さんの反応はまったく分かりませんでした。でも、とうもろこしの直売を始めて、毎年楽しみにしてくれている人の顔を見ると涙が出るくらい嬉しいんです。白菜との輪作なので量はこれ以上増やせないですが、喜んでくれるみなさんのためにおいしいとうもろこしを作り続けたい。品種もいろいろ試していきたいですね」
 野菜工房木村では毎週家族揃って会議を行い、作物状況の共有や経営に関する事などを話し合っているそうです。
 「今年からねぎの生産を始めましたが、それも会議で決定したことです。主力の白菜の価格の乱高下が激しいため、年間を通して比較的価格が安定しているねぎを選びました。
 農業を続けていくためには、考え方も作物も変わっていかなければならないと思います。会社を法人化したこともそのひとつです。家族だからこそ“手伝い”で報酬などがうやむやになることを避けたかった。年金ももらえて、家族が不安にならないようにしたかったんです。今、小学5年生の孫がうちの仕事をやりたいと思えるような仕事を続けていきたいです」
 木村さん一家の挑戦は、まだまだ続きます。

インフォメーション
名称 株式会社野菜工房木村
WEBサイトURL http://www.kimura-vege.jp/
その他の情報 ※このページの情報は、2022年7月時点のものです。

今、おすすめの記事

TOP