いばらきの食に挑戦する人たち
株式会社ハラキン原謙次さん(鹿嶋市)
きのこ作り一筋で半世紀
株式会社ハラキンは、鹿嶋市に本社を置く昭和51年創業の“きのこ専門”の製造・販売メーカーです。最先端の技術を用いた室内生産で、環境に優しく、人にも優しい高品質のきのこを栽培しています。
ハラキン代表の原謙次さんは、鹿嶋市でメロンなどを栽培する農家の長男として21歳で就農。2年間父と共に農業を行いましたが、当時主流だった農業(露地栽培)は、天候に大きく左右されること等から「経営状況を考えるとこれは続けていけない」と、天候に左右されない安定した室内栽培の農作物を模索したそうです。
原さん「長野県が施設によるきのこ栽培を始めたというニュースを見て、同じような施設の視察に足を運びました。最初は“企業秘密”だと言われいい顔はされませんでしたが、こちらの熱意に応えてくれて、入口のみという条件付で視察を受け入れてくれました。施設内には、それまで山の中でしか見たことのなかったきのこが、ズラリと並んでいて、それを見た瞬間、全身鳥肌が立ちました。」
施設を見た瞬間、『これだ!』と決めたという原さん。父に相談すると、「逃げ道を作らず、全身全霊をかけてやれ」と背中を押されるように、これまでのメロン栽培などを全て辞めたのだそうです。
きのこの室内栽培を行うための施設には、莫大な建設資金が必要でした。前例のない施設建設に、周囲から反対があったものの、原さんの熱意に周囲も納得し、昭和57年にヒラタケの生産工場を、昭和63年にはブナシメジの生産工場を建設しました。
安全な純国産生きくらげ
現在、ハラキンではブナシメジとエリンギを中心に、国内トップクラスのきのこ栽培を行っています。原さんは、栽培を通じて、きくらげの“成分”に魅力を感じ着目しています。
原さん「人は、ビタミンDが不足するとカルシウムの成分を吸収しづらくなると言われています。きくらげには、そのビタミンDが他の食物より桁違いに多く含まれています。こんなに栄養豊富なきくらげが、なぜ国内で生産されていないのか、疑問を感じていました。いろいろ調べてみると、日本で消費されている多くのきくらげが中国から輸入された乾燥きくらげでした。輸入きくらげの消費が定着していたため、国内での生産を始める日本の企業がありませんでした。食べ物は人の身体を作るものですので、きくらげを安全・安心なものにしたい。体に良いものに切り替えたい、そう思いました。」
原さんは、このような思いからきくらげの栽培研究を開始し、4年の歳月をかけて、純国産の生きくらげの生産・販売を開始しました。更に平成27年からは、1株で200g以上あり、特に肉厚でボリュームのあるきくらげを厳選してブランド化した『華きくらげ』の販売も開始しました。
原さん「一人でも多くの方に安全・安心なきくらげを食べてもらい、健康的な生活を一年でも長く送ってもらえるよう、使命感を持ってやっています。」
ハラキンは、きくらげ栽培技術の新たな開発により、年間を通して安定した栽培、出荷を実現しました。平成25年度以降は年間100トン以上の生産量となり、日本トップクラスになりました。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ハラキンでは平成20年から定年制を廃止しており、「90歳まで現役」を合言葉に、60歳以上の求人広告を積極的に行い、60歳以上の従業員が活躍できる雇用形態を導入しています。現在、70歳以上のシニア従業員の割合は全体の5.4%を占めています。(従業員数:147名(平成29年時点))平成28年には、この取り組みが評価され、厚生労働大臣表彰の『高年齢者雇用開発コンテスト』で最優秀賞を受賞しました。
原さん「シニア従業員は、これまで何十年間と働いてきた経験を持っています。そのためイチからの指導が必要なく、こちらが期待する以上の働きをしてくれます。私は、“家族の延長は会社”、“会社の延長は社会”だと思っています。家族が年をとったからといって、追い出したりしないように、もちろん若い力も大事ですが、多くのシニアの方々に会社や社会で活躍してもらいたいです。」
『食の安全に貢献したい』という原さんの強い信念と、『体にいいものを作る仕事』は、シニア従業員も含め、ハラキンで働く全従業員のモチベーションになっています。
インフォメーション | |
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名称 | 株式会社ハラキン | 住所 | 茨城県鹿嶋市武井釜812-1 |
お問い合わせ | TEL:0299-69-0132(代) FAX:0299-69-1653 |
WEBサイトURL | http://www.hara-kin.com/ |
その他の情報 | ※この情報は平成29年時点のものです。 |
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