PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

東郷ファーム東郷 直樹さん(つくばみらい市)

東郷ファーム 東郷 直樹さん(つくばみらい市)

夢は日本一の作り手!

東郷ファーム

「第1回つくばみらい市米コンテスト」授賞式の様子(真ん中が東郷さん)「第1回つくばみらい市米コンテスト」授賞式の様子(真ん中が東郷さん)

 茨城県つくばみらい市にある東郷ファームは、「にんじん」「大根」、新品種の米「にじのきらめき」などを作っています。
 東郷ファームを経営する東郷直樹さんは、「命は土づくり」の考えのもと、作物視点に立ったこだわりの農業を行っています。地域農産物のブランド化や若手農業経営者の育成にも取り組み、地元小学生を対象に食育活動を行うなど、農業分野における地域活性化に貢献したことで、令和2年度茨城県表彰の「新しいいばらきづくり表彰(個人)」で表彰もされている“熱い男”です。
 東郷ファームのにんじんの栽培面積は約3.5ha、大根は約2.5ha。にんじんは東郷さんの代で3倍に拡大したと言います。さらに、東郷ファームの作った「にじのきらめき」は、2021年の「第1回つくばみらい市米コンテスト」で優秀賞を受賞しています。

“命は土づくり”

東郷ファームのこだわりの土

東郷ファームのにんじん畑

 東郷ファームのにんじんを食べると、その甘さに驚きます。平均糖度は10度(オレンジと同程度)というその甘さの秘密は「土づくり」にあると東郷さん。

 「『命は土づくり』です。作物は種を蒔いた瞬間からどんな形になるか、どんな味になるか、全てが決まると思っているので、その前に土に対して何ができるか、何をするかを常に考えています。
 土づくりは大きく分けると緑肥、たい肥の2つです。収穫後の畑にソルゴーやライ麦などの緑肥を植えると、有機物を土壌に還元することになり、微生物を繁殖させてくれるので土壌バランスが整います。食物連鎖のバランスを土の中でとるイメージで、土の中の生態系のバランスがとれれば作物に病気はほとんど出なくなります。さらに、土の中に団粒構造ができるので、水はけや保肥力を高めてくれる効果もあり、土も柔らかくなります。
 たい肥は、どこでどんな風に作られたたい肥なのかがとても重要です。“守谷酪農団地”の牛ふんたい肥は、温度70度で4週間きり返して作っているので余計な菌がいません。また友人の経営する乗馬場の、うちのにんじんも食べている馬ふんたい肥も使っています。この2つだけだとチッ素分が多いので、バランスを見ながら薬品を使わず3次発酵した大手卵メーカーの鶏ふんたい肥も入れています」

 自身で付けている作業日誌とにらみ合い、仲間の助言もあって試行錯誤の末にこの土づくりに辿り着いたという東郷さん。毎作ごとに土壌診断も行っていますが、「数値に頼りすぎないように気を付けている。最後は勘。とにかく毎日畑に立って、現場の感覚を大事にしている」と言います。
 東郷さんのにんじん畑に足を入れると、ふわふわで柔らかく、適度な弾力があります。種苗メーカーの担当者も、「これほど柔らかなにんじん畑の土は全国的にも稀」と絶賛しているそうです。

機械をカスタムして作業を効率化!

フレキシブルコンテナによる収穫の様子フレキシブルコンテナによる収穫の様子

改良した除草機改良した除草機

 東郷ファームのスタッフは、直樹さんと奥様、ご両親とアルバイト5名の計9名。アルバイトのメンバーは皆会社員などで“副業”として朝の1~2時間東郷ファームに来てくれているそうです。にんじんや大根は体力仕事が多いため、東郷さんは機械を買ったり既存の機械をカスタムしながら、限られた人数での作業の効率化を常に考えているそうです。

 「収穫機はコンテナ型でなくフレキシブルコンテナに換えました。コンテナ型は収獲後に手作業でコンテナを回収してトラックに積む作業があり重労働です。フレキシブルコンテナだとバックに入った作物をフォークリフト付のトラックで回収することができます。
 また、播種機は、水はけが良く発芽しにくい土地でも発芽しやすくなるようにトラクターをカスタムして土を耕しながら種を蒔ける仕様にしました。播種レーンも増やしたので、一度に多くの列に種が蒔けて収量もプラス2t程になりましたし、まっすぐ綺麗に蒔けるのでものすごい効率化になりました」

 さらに、「播種後約1ヶ月間のにんじんは生育が弱いため、除草作業をこまめに手作業で行わなければなりません。この手作業を減らそうと、除草機を当園の播種の仕方に合わせてカスタムしました。追肥を混ぜながら除草ができるので、1台2役。除草作業は主に妻や母の仕事ですが、身体の負担が減ったと喜んでくれています」

 こうした東郷さんのアイディアや努力の積み重ねで、東郷ファームのにんじんのA品率は平均8割を超え、ここ数カ月は9割が続いているそうです。

販売時期
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夢~さらなる挑戦~

 東郷さんに今後の展望をお伺いすると「日本一の作り手になりたいです」と即答。

 「父から経営を引き継いだ7年前に『日本一になる』と決めました。周囲にも明確に“日本一”と認めてもらうには賞を取るしかないと思うので、正確には目指せ『天皇杯』です。つくばみらい市の農業をもっと盛り上げたい。私が突き抜けて日本一になれば、つくばみらい市の農業も全国的に注目されると思うんです。そのために、メディアのお誘いがあれば断わりませんし、客寄せパンダでもどんどん前に出ていきます。大きな事言ってと思われるかもしれませんが、じわりじわりと計画性を持って本気で取り組んでいます。どんな環境でも一級品を作れるのがプロだと思ので、しっかり儲けながら常にA品率100%を狙い、大きな賞レースに参加できるようになりたいです」
 
 掘り起こしたにんじんを見つめ、「良いにんじんだ!」と目を輝かせる東郷さん。
 にんじんの選び方を聞くと「色が鮮やかなもの。おしりが丸くなっているものがおすすめです。うちのにんじんは1月頃に一番味がのるので、シリシリなどにして食べてみてください」
 “熱い男”東郷さんの言葉の節々からは「本気で日本一になる」という熱量が伝わってきました。
 挑戦を続ける東郷さんに今後も目が離せません。

天皇杯…農林水産祭(※)参加表彰行事において農林水産大臣賞を受賞した中から決定された「天皇杯」、「内閣総理大臣賞」及び「日本農林漁業振興会会長賞」のうち最高位にあたるもの。各賞は、農産・蚕糸部門、園芸部門、畜産部門、林産部門、水産部門、多角化経営部門、むらづくり部門の7部門に授与される。また、女性の活躍が著しい2点に対して、内閣総理大臣賞と日本農林漁業振興会会長賞が授与される。
(※)農林水産祭:国民の農林水産業と食に対する認識を深めるとともに、農林水産業者の技術改善及び経営発展の意欲を高めるため、農林水産省と公益財団法人日本農林漁業振興会の共催により昭和37年から実施されている。

東郷ファームの野菜を買えるお店
JA茨城みなみ農産物直売所「みらいっ娘」
住所:茨城県つくばみらい市上小目223-2
TEL:0297-52-2020
JA茨城みなみ農産物直売所 夢とりで
住所:茨城県取手市桑原242-1
TEL:0297-84-6661 
インフォメーション
名称 東郷ファーム
住所 茨城県つくばみらい市板橋1839-2
お問い合わせ TEL:0297-58-1396
その他の情報 ※このページの情報は、2021年12月時点のものです。

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