PICK UP/ 茨城のうまいもの特集

いばらきの食に挑戦する人たち

フェルミエ那珂綿引 桂太さん(那珂市)

フェルミエ那珂 綿引 桂太さん(那珂市)

どんな人でもいつでも参加OK!

フェルミエ那珂

いぃ那珂マルシェの様子いぃ那珂マルシェの様子

旬の新鮮な野菜が入った「野菜BOX」旬の新鮮な野菜が入った「野菜BOX」

 「フェルミエ那珂」は、茨城県那珂市内及び近隣地域の農家と飲食店、直売所、JAなどで組織された組織(チーム)です。
 活動は主に農畜産品等の価値向上に向けた新商品の開発や、6次産業化に向けた加工指導、農家の所得向上に向けた販売戦略の構築など、アグリビジネスに資する取組を積極的に展開しており、その一環としてイベント出店などを行っています。
 フェルミエ那珂の代表的なイベントの1つが、毎月最終土曜日に、直売所「ふれあいファーム芳野」の加工所前で午前10時から開催している「いぃ那珂マルシェ」。2021年9月時点では、「野菜BOX」をはじめ、おにぎり、お菓子などを完全予約制で販売しています。
 フェルミエ那珂のメンバーはおよそ50名で、20代から80代までの農家と飲食店経営者等。幅広い世代がこの活動に参加しています。
 農家の垣根を越え活動するフェルミエ那珂の熱い情熱を持ったメンバーたちが揃うこのチームの会長を務めるのは、綿引 桂太さん。那珂市内の綿引農園の経営者で、トマトやアスパラ、なす、かぼちゃの加工品などの生産・販売を行っています。

活動の目的

フェルミエ那珂会長 綿引さんフェルミエ那珂会長 綿引さん

メンバーと会長(右)副会長(右から2番目)メンバーと会長(右)副会長(右から2番目)

 「私たちは、小さな農家と飲食店経営者などの集まりなんです」と綿引さん。
 2014年に那珂市や近隣地域の農業協同組合が大規模に合併して「JA常陸」が誕生しました。野菜の品目によっては農協の生産者団体である“部会”がありましたが、綿引さんをはじめとした地域の“小さな農家同士”がコミュニケーションを取れる機会が減っていったそうです。
 珍しい洋野菜を作る農家で、フェルミエ那珂の副会長を務める会沢 留美さんは次のように語ります。
 「高齢化や人手不足が顕著になっていくなか、特に私たちのような小さな農家は農家同士で集まって情報交換などができる場所が必要でした。」
 そこで那珂市役所に相談に行ったところ
 「当時の農政担当者が親身に相談に応じてくれて、イベント出店(農畜産物のマッチングイベント)の話を持ち掛けてくれました。2016年に20人くらいでイベントに出店したのが『フェルミエ那珂』設立のきっかけです。」

この日は水戸農業高校の生徒が作ったお米も入ったBOXのほか、おにぎりやフィナンシェの予約販売もしていました。この日は水戸農業高校の生徒が作ったお米も入ったBOXのほか、おにぎりやフィナンシェの予約販売もしていました。

若手も精力的に活動若手も精力的に活動

 会長の綿引さんは、当時を振り返り「最初はPRの方法も分からないし、イベントにはお客さんも全然来なかったのですが、市内で数々のイベントを成功させている実績のある“菅谷地区まちづくり委員会”から声をかけていただいて、一緒にやらせてもらうようになってからは、私たちの野菜を楽しみにしてくれるお客さんも増えていきました」と綿引さん。
 「フェルミエ那珂の目的のひとつは、ジャンルを越えて縦、横に人が繋がり“チーム”になることで、互いに助け合いながらあらゆる変化に対応できる力を付け、一人でいると狭くなりがちな視野を広げたいというものです。だからメンバーに市内、市外、職業の垣根はありません。イベントで収益を上げるのが目的ではなく、情報交換や消費者と交流するなかで、変化を受け入れ、変化を楽しめる心を養いたいんです。」
 こうした「同じ志があれば、誰でも参加できる」という体制もあり、メンバーはどんどん増え、今ではや若手農家も多く加わり、SNSで情報発信を行うなど広報力もアップしました。水戸農業高校や那珂市地域おこし協力隊のメンバーとコラボし、生徒たちが企画した商品の販売も行うなど、活動の幅はどんどん広がっています。

行政と農家がタッグ

フェルミエ那珂のメンバーが作る野菜フェルミエ那珂のメンバーが作る野菜

イベントの準備をするメンバーイベントの準備をするメンバー

 「いぃ那珂マルシェ」は、那珂市の後方支援も手伝って大盛況となり、行列ができるほど人気のイベントになりました。
 「それまで農家が市役所に行く時は意見や要望を言いに行く時だけでした(笑)。でもフェルミエ那珂が始まってからは他県からのイベント出店依頼などもほとんど市役所が窓口になってくれて、強力なバックアップを頂いています。市の協力があってこそフェルミエ那珂は活動できているので、今は打合せに行くことはあっても、意見や要望を言いに行く人はいなくなりましたね」と笑う会沢さん。
 那珂市の担当者は、「フェルミエ那珂は様々な野菜や加工品を作っている農家さんや飲食店の方もいて、イベント主催者側からの要望に誰かしら対応できる人がいることが分かっているので、本当にありがたい存在なんです。市役所内でも、外部からイベントの話が来るとまずはフェルミエ那珂に聞いてみる、という流れができています。」と言います。
 コロナ禍においても、予約制で「野菜BOX」のドライブスルー販売を始めた際には、市役所の駐車場を開放し、予約の窓口も市が一手に引き受けるなど、互いの信頼関係は強固なもの。行政と農家がタッグを組むチームは、全国的にも珍しいそうです。

販売時期
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

フェルミエ那珂会長綿引さんと副会長会沢さん

夢~さらなる挑戦~

 今後の展望を綿引さんと会沢さんにお聞きしました。

綿引さん「フェルミエ那珂のお陰で、『新型コロナも自然災害と同様』と悪い意味でなく受け入れることができるようになりました。今は『予約制の野菜BOX販売』という形をとっていますが、このままというつもりはなく、皆で話し合いながら世の中の流れに合わせて柔軟に今後のことを考えていきたいと思います。また、今はフェルミエ那珂の拠点となる場所がないので、それが事務所なのか直売所なのかは分かりませんが、世代や業種を越えて皆で集まれる場所を作りたいと思っています。」

会沢さん「野菜は鮮度が命ですから、イベント当日は朝早くに野菜を収穫して綺麗にして梱包して…という作業を一人で行います。でも一人だと販売できる個数には限界があります。そこで今、『同じ野菜を何軒かの農家で作ってみよう』という話が出ています。そうして各農家が持ち寄ればセットで100個販売することができる。みんなで助け合いながら色んな形で活動をしていきたいと思います。」

 フェルミエ那珂のメンバーは随時募集中で「興味があったらいつでも誰でも気軽に連絡して欲しい」とのこと。チームの挑戦は続きます。

「フェルミエ那珂」会員募集ページ→https://www.city.naka.lg.jp/page/page003407.html

フェルミエ那珂の商品を買えるお店
いい那珂マルシェ ※予約制 毎月最終土曜日10時開催 
住所:茨城県那珂市鴻巣2090 ふれあいファーム芳野 農産工房前
TEL:那珂市農政課 029-298-1111(内線235・236)
インフォメーション
名称 フェルミエ那珂
住所 茨城県那珂市門部3294
お問い合わせ TEL:029-298-5027
FAX:029-298-5027
WEBサイトURL https://peraichi.com/landing_pages/view/watahikifarm/
その他の情報 ※このページの情報は2021年10月時点のものです。

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