いばらきの食に挑戦する人たち
結農実WORKS笹川 雄也さん・美奈さん(高萩市)
結農実WORKS
「高萩ほおずき」
笹川 雄也さん(右)・美奈さん(左)
茨城県高萩市の美しい自然に囲まれた山村にある「結農実WORKS(ゆのみわーくす)」は、オーガニックの食用ほおずき「高萩ほおずき」を中心として、その加工品の製造・販売や、農薬や化学肥料不使用の野菜約50品目の生産・販売を行っています。
笹川雄也さん・美奈さんご夫妻で始めたこの農場の名前「結農実」の由来は、「結ぶ、農業、実る」の意味や、「You know me」「気軽にお茶でも飲みに来てほしいので“湯呑”」「雄也&美奈」など多々ありますが、根本には『人と人との繋がりを大切にしたい』という想いが込められているそうです。さらに「WORKS」には、「高萩ほおずきや野菜は、自然と自分たちで創った“作品”である」という想いが込められています。
「高萩ほおずき」
“観賞用”というイメージが強いほおずきですが、実は食用ほおずきは非常に美味。甘い香りとまろやかな甘酸っぱさで、品種によってはマンゴーやイチゴ、パイナップルやトマトなどに似た味わいがあります。
「主に栽培しているのは『ゴールデンベリー』という、インカ帝国の時代から食されている品種で、別名『インカベリー』とも呼ばれています。甘みと酸味の絶妙なバランスと複雑な味わいが楽しめるほおずきで、その豊富な栄養価から、スーパーフードとして注目されているんです」と雄也さん。
生食でもおいしいほおずきですが、より幅広く「高萩ほおずき」を広めていきたいと、美奈さんが高萩ほおずきジャムや高萩ほおずきバターを作っています。
「独自で加工所を作り、そこで手作りしています。ほおずきそのもののおいしさを邪魔しないように添加物などは使わず、自然でやさしい味を追及しています」と美奈さん。
おしゃれなラベルデザインを手がけたのはなんと雄也さん。「デザインを学んだ経験は無いのですが、自分で作った方が納得できるなと思って」と笑います。ラベルを含め、結農実WORKSの看板や商品に係るデザインはほとんど雄也さんが手がけているのだそうです。
「ほおずき」をメジャーにする!
福島県いわき市出身の二人。サラリーマン一家で農業の“の”の字も頭に無く、世界を股にかけるバイヤーを目指して二人で海外留学をした時、出会った人々の夢語る姿に衝撃を受け人生を考え直したという雄也さん。
「出会った人たちに刺激を受けて、改めて今後の人生の展望を整理していったら、農業を柱にやってみようという話になって。そこから二人で農業の道に入りました。」
山梨県のぶどう農家や、長野県の有機栽培農家で必死にぶどうや野菜の栽培を勉強し、さらに米作りも学びたいと、オーストラリアで日本の米を育てるプロジェクトに研修生として参加し、1年間米作りと農業機械の乗り方、使い方を学びました。
「オーストラリアでプロジェクトが行われていた地域は温暖な気候なので、1年で米が3回作れるんです。それなら集中して米作りが学べると思ってその研修に参加しました。」
満を持して帰国し、有機野菜と長野県の研修先で感動した「食用ほおずき」を作る農家になろうと、地元福島県をはじめ隣接する茨城県でも土地を探しました。
ところがどこに行っても借りられる土地が見つからず、途方に暮れたそうです。そんな時、以前一度相談をしていた茨城県農林振興公社から、高萩市で「地域おこし協力隊」の募集をしていると連絡をもらいます。
「そんな制度があることを全然知らなかったのですが、農業ができて、しかも高萩市がこれから力を入れていきたいという作物が『食用ほおずき』だったのでびっくりして。長野県の研修先で食用ほおずきに出会い、独立したら絶対作りたいと思っていたので、これは運命だと思いました。」
こうして二人は高萩市の地域おこし協力隊として食用ほおずきの栽培方法を徹底的に学びました。
周囲の人々にも「高萩ブランドのほおずきを絶対メジャーにする」という二人の奮闘ぶりが伝わり、徐々に協力的になっていったといいます。
二人の努力で周囲の協力と応援を得ることができ、ほおずき栽培に適した高萩市内の農地も借りられることになり、晴れて2017年に独立。「結農実WORKS」と、有機栽培のほおずき「高萩ほおずき」を立ち上げました。
非農家の新規就農者誕生は、茨城県北地域では初めての出来事でした。
全ての圃場で「有機JAS認証」を取得
結農実WORKSのほおずきをはじめ野菜など全ての圃場で、有機JAS認証を取得しています。
「農業を始めた当初から有機栽培にこだわっています。草、虫、微生物と共に自然の循環を大切にしながら作物を育てていきたいという思いがあるからです」と雄也さん。
農薬や化学肥料、除草剤不使用だからこそ、毎日畑を見て虫の捕殺などを地道に行わなければならず、「こんなに難しい作物はない」というほおずき。だからこそ収穫した時の喜びはひとしおなのだとか。
「収穫時期は8月のお盆辺りから、寒くなり“霜が降りるまで”です。昨年はハクビシンに大半がやられてしまい目の前が真っ暗になりましたが、一昨年の豊作時のストックで何とかしのぐことができました。今年はハクビシン対策もしっかりしたので、沢山収穫できると思います。」
販売はオンラインショップを中心に、全国のレストランから注文があるそうです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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結農実WORKSの農園の一角、自宅敷地内の空き家をご自身でリフォームして、カフェを作ったそうです。
「ほおずきは生で食べてももちろんおいしいのですが、加工してもおいしく、活用の幅が大きい果物です。ケーキなどの洋菓子から、大福などの和菓子にしてもおいしい。色んなバリエーションの『高萩ほおずき』を発信していきたいので、カフェを作りました。また、今後はもっと畑を広げてスタッフを雇って、その人たちがここで農業を学んで、独立していけるような環境を作っていきたいと思っています。」
さらに「私たちの大きな目標としてあるのが『この地域を残していくこと』です。私たちの住む高萩市上君田地区も少子高齢化、過疎化が急速に進んでいて、このままではこの地域に人がいなくなってしまいます。それを食い止めるためには、人にここに住んでもらうしかない。今、空き家をリフォームして居住体験をしてもらうなどで人を呼べないかと考えているところです。私たちのところで働いて、ご飯をたべて、何でもいいので私たちや地域と人が繋がることで地域全体を盛り上げていけたらと思います。」
目を輝やかせながらそう語る二人。「ここに来ていただき、自然豊かな地域の魅力を直に感じて欲しい」と開催したイベントには、山奥にも関わらず多くの人たちが集まったそうです。
夫妻の挑戦はまだまだ続きます。
インフォメーション | |
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名称 | 結農実WORKS | 住所 | 〒318-0105 茨城県高萩市大字上君田字日向1034 |
お問い合わせ | Email:sasakawa@yunomi-works.com TEL:090-5203-1092 or 080-6002-2327 |
WEBサイトURL | https://yunomi-works.com/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2021年9月時点のものです。 |
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