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「鮮度」と「資源」を守る!霞ヶ浦の「テナガエビ」!
霞ヶ浦地区トロール部会~漁師たちの取組~

「鮮度」と「資源」を守る!霞ヶ浦の「テナガエビ」!霞ヶ浦地区トロール部会~漁師たちの取組~

1.漁獲量日本一!!霞ヶ浦のテナガエビ

 霞ヶ浦北浦地区のテナガエビは、一般的に「カワエビ」と呼ばれる体長10センチ程にまで成長する淡水性のエビです。
 国内第2位の面積を持つ湖「霞ヶ浦・北浦」では「テナガエビ」の漁が盛んで、全国シェア50%を超え、漁獲量は日本一を誇ります。
 「テナガエビ」は海で獲れるエビと比べて、カルシウムが非常に多いこと、身の香りが際立っていることに加えて、調理法によって様々な食感や風味を楽しめるのも魅力。
 釜揚げや佃煮、素揚げ、かき揚げはもちろんのこと、そばやうどん、丼ものと組み合わせても良し、洋食、中華料理のアクセントに使っても良し、出番の多い食材です。

  • やみつき!テナガエビのかき揚げ
  • エビの出汁がジューシー!えび大根

漁獲量日本一!!霞ヶ浦のテナガエビ成分含有量

2.霞ヶ浦地区トロール部会

設立の目的 「鮮度」と「資源」を守る!

 霞ヶ浦北浦の漁師達は、テナガエビやワカサギ、シラウオなどを動力船の後方に入れた網で曳く、通称「トロール漁」という漁法で主に漁獲しています。漁師達は、この「トロール漁」について、これまでよりさらに厳格なルールを定めることで、魚の命ともいえる「鮮度」と、「資源(霞ヶ浦北浦に生息する魚介類)」を持続的に利用しつつ、買い手のニーズに合わせた漁業を行っていこうと、平成22年(2010年)に「霞ヶ浦地区トロール部会」を設立しました。

  • トロール漁「網上げ」の様子

トロール漁イメージ図トロール漁イメージ図

 「テナガエビ」は、霞ヶ浦北浦で佃煮や釜揚げなどの原料として利用され、そのほとんどが地元消費される重要な水産資源です。
 このことから、特に「テナガエビ」を対象とした「トロール漁」が盛んな霞ヶ浦地区においては、エビ資源の持続的利用を図るための取り組みが、漁業者間の協議のもとで行われています。

エビトロール漁に関する霞ヶ浦地区トロール部会の取り組み
操業時間の決定
霞ヶ浦における水産資源の発生状況などをもとに漁業者が話し合い、操業時間を決定する。
漁期の設定
稚エビを対象とした盛漁期の秋漁(トロール)は、9月中旬~11月下旬とする。
※正確な日時は状況により決定。
保護区域の設定
11月の中旬以降は、翌年親となる資源を残すため保護区域を3ヶ所設け、区域内での操業を自粛する。
※保護区域は状況により決定。

霞ヶ浦地区トロール部会に参加する各地区の代表者霞ヶ浦地区トロール部会に参加する各地区の代表者

設立の趣旨 漁業者主導で操業を管理!

 「霞ヶ浦地区トロール部会」(以下:トロール部会)は、漁業者主体の漁業管理組織で、所属する漁業協同組合によらず、霞ヶ浦でトロール漁を操業する漁業者全員を対象として設立されました。
 各地区から選出された代表者を中心に「資源」や「消費動向」「操業上の安全」「秩序維持」などを考慮しながら漁期中の操業時間等について取り決め、漁業者ひとりひとりがこの決定事項に基づき操業する仕組みとなっています。
 平成22年(2010年)の部会設立とあわせて、同漁業における「自主管理」についても協議が行われ、まず以前から要望の多かった『操業時間』を部会で管理運営できるよう、県へ制度の見直しを要望しました。さらに「操業方法」や「品質向上」「資源管理」等の自主管理内容についても部会でルールを決め、3年間試験操業を行った結果、問題なく漁業秩序が保たれたことから、平成25年(2013年)に操業時間制の解除といった規制緩和がなされ、霞ヶ浦地区全体の自主管理体制が確立されたのです。

  • 霞ヶ浦地区トロール部会の様子霞ヶ浦地区トロール部会の様子
  • ワカサギ。繊細な魚体にできるだけ傷をつけずに鮮度も維持できるよう、短時間で漁を行うよう取り決められた。ワカサギ。繊細な魚体にできるだけ傷をつけずに鮮度も維持できるよう、短時間で漁を行うよう取り決められた。

設立の経緯 買い手のニーズに合わせた漁業への転換を目指して

 近年、漁業環境は大きく変化しています。それは、資源の減少や、「魚離れ」に象徴される需要の低迷など、水産業界にとっては厳しさが増す一方で、「地産地消」や「国産志向」「健康志向」の消費者も増えてきているなど、ニーズが複雑かつ流動的となっていることです。
 市場を通さず、漁師と問屋が直に取引きを行う独特の流通形態を持つ霞ヶ浦・北浦の漁業者たちは、このような状況を肌で感じ、これからは、単に「たくさん魚を獲る」のではなく、「品質」や「鮮度」、更に「限られた資源の有効活用」を重視しながら、『買い手のニーズに合わせて獲ること』が必要だと感じました。
 これらを実践することで、ひいては霞ヶ浦北浦に『儲かる漁業』を実現することを目標に、茨城県や漁協と協力して漁業者主体の部会を設立したのです。

  • テナガエビ。減少傾向にある資源を守るため、操業時間、保護区域等のルールを部会で決めていく。テナガエビ。減少傾向にある資源を守るため、操業時間、保護区域等のルールを部会で決めていく。
  • 獲りたてはガラスのように透明なシラウオ獲りたてはガラスのように透明なシラウオ

3.霞ヶ浦地区トロール部会では何をしているの?

霞ヶ浦地区トロール部会会長 中泉 義美さん霞ヶ浦地区トロール部会会長
中泉 義美さん

「トロール部会」では実際に何をしているのか、トロール部会会長で、霞ヶ浦漁業協同組合の副組合長でもある中泉 義美さんにお話を伺いました。

トロール部会では、実際に何をしているのでしょうか。
月に1回程度、地区の代表者30名程が集まって部会を開催します。部会では、各地の漁の状況を報告しあいながら、今後の曳網(ひきあみ)時間の決定や、資源を保護するための休漁区域の決定などをします。
  • 部会の様子部会の様子
  • 部会の様子部会の様子
「曳網(ひきあみ)時間」はどのくらいなんですか。
時期と対象魚と漁師によって変わるので一概には言えませんが、平均すると大体エビは90分、シラウオは30分、ワカサギは60分くらいでしょうか。しかし、それも漁師と問屋さんの取引内容で変わってきます。例えば「とにかく鮮度重視」という問屋の注文があれば、もっと短時間で引き揚げる漁師もいます。
「品質・鮮度管理」はどのようなことを行うのですか。
品質の管理は、決められた曳網時間を厳守することです。長時間曳いてしまうと魚が網の中で傷ついてしまうことがあるので、時間を守ってキレイな魚を揚げようと取り決めています。
鮮度管理は、船に氷を積んで漁に出て、魚を曳きあげたらすぐに氷漬けにします。水揚げ後は急いで帰って冷水で洗浄、選別に入ります。選別後は氷漬けにして直ちに問屋に持って行くか冷蔵庫に保管します。衛生管理についても「船上は必ず洗浄すること」、「漁獲物を船上に放置しないこと」、「漁具、魚槽等は定期的に洗浄すること」などのルールも定めています。
  • 夜間操業の様子夜間操業の様子
  • 常に氷は絶やさない常に氷は絶やさない
「トロール部会」を発足したことで、変化はありましたか?
漁業者、問屋、双方にとって良い変化がたくさんありました。エビは夜行性なので夜間の方が多く漁獲できるのですが、これまでの操業時間帯は朝だったので、エビが湖底近くに潜ってしまい、エビ以外の魚や木くずなども多く入ってしまっていました。しかし、部会ができてルールが変わったことで、魚の属性に合わせた時間帯に漁ができ、ロスが極端に少なくなりました。多くの漁業者から「やって良かった」「これからも継続したい」と歓迎する声があがりました。
また、漁師にとって最大の買い手である地元水産加工業者からは、「鮮度が向上した」「異物が減った」と高く評価され、漁師達の士気が上がったことは間違いありません。
さらに、これまでは同じ霞ヶ浦でも対岸などの地元地区以外では誰が漁をしているのか分かりませんでしたが、部会によって霞ヶ浦一円の漁業者間で交流が進み、資源状況などの情報交換がされるようになりました。
  • 選別後のテナガエビ選別後のテナガエビ
  • 佃煮は世代を問わず人気がある佃煮は世代を問わず人気がある

4.テナガエビ商品が買える店

道の駅たまつくり

道の駅たまつくり店長 中根さん道の駅たまつくり店長
中根さん

一番の売れ筋商品は「川エビ(テナガエビ)の釜揚げ」です。問い合わせも多く、遠方からこの商品のためにいらっしゃるお客様も多いです。また、定番のエビの佃煮も産地ならではのボリュームとお手頃感が大変好評です。地方発送も行っているので、ご希望の方はご連絡ください。
また、時期や日によって無い商品もあるので、欲しい商品がある方は、ぜひお問い合わせのうえお越しください♪

  • 不動の一番人気商品!加工業者によって味わいが違います。不動の一番人気商品!加工業者によって味わいが違います。
  • 「佃煮各種」贈り物に、自分へのご褒美に、人気です。「佃煮各種」贈り物に、自分へのご褒美に、人気です。

「道の駅たまつくり」は、霞ヶ浦大橋のたもとにある直売所で、地元行方市・霞ヶ浦北浦の特産品を扱っています。
「地元産」にこだわり、原料から加工まで全て地元で行われたテナガエビ、ワカサギ、シラウオ等の釜揚げや佃煮が並ぶ地元の水産加工業者コーナーは、「ここでしか買えない霞ヶ浦の味」として大人気です。

道の駅たまつくり
電話0299-36-2781
住所茨城県行方市玉造甲1963-5
営業時間9:00~18:00
定休日年中無休(年末年始を除く)
WEBサイトhttp://www.namegata-koikoi.com/
店舗情報を詳しく見る

5.テナガエビを使った料理が食べられるお店

土浦ラーメン

土浦ラーメン店長土浦ラーメン店長

最初は海の有頭エビを使っていたんです。でも、「そういえば霞ヶ浦のエビって日本一だったよな」と思って、試しに作ってみたんです。そうしたら、旨みが全然違う。価格も海のエビより抑えられるし、地元で獲れた天然ものだし美味しいし言うことないので、それからはずっと川エビを使っています。
お客さんからもかなり好評で、これしか食べない方などもいて、うちの人気ベスト3には必ず入っています。

  • 「天然川エビつけ麺」鶏白湯をベースに天然川エビを合わせたスープ。濃厚なエビの旨みが絶品です!「天然川エビつけ麺」鶏白湯をベースに天然川エビを合わせたスープ。濃厚なエビの旨みが絶品です!
  • スープによく絡むもちもちの麺は、茨城県産強力粉「ゆめかおり」を使用しています。スープによく絡むもちもちの麺は、茨城県産強力粉「ゆめかおり」を使用しています。

土浦ラーメンは、桜川の水郷橋たもとにある人気ラーメン店です。店長は、ラーメン愛に熱く、メニュー開発にも精力的です。「安心して食べられる、自然に近いもの」を作りたいと、茨城県産食材を多く使っています。
近年不動の人気ラーメンは、1位 濃厚鶏白湯ラーメン、2位 天然川エビつけ麺、3位 野菜たっぷり味噌ラーメン!

土浦ラーメン
電話029-827-1401
住所茨城県土浦市蓮河原新町1-33
マヤビル1F
営業時間11:30~15:00
18:00~22:00
定休日年中無休

※この情報は2019年11月時点のものです。

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