いばらきの食に挑戦する人たち
藤田観光りんご園藤田 史子さん(大子町)
絵本のような世界が広がる丘の上のりんご園
藤田観光りんご園園主の藤田卓さん
シーズンには緑に赤が映える美しい景色が
茨城県屈指の観光地・大子町。JR水郡線常陸大子駅からおよそ10分ほど北へドライブを楽しむと、藤田観光りんご園に到着します。約2ヘクタールの畑に整然と植えられたたくさんのりんごの木が迎えてくれます。「一番古いりんごの木が65歳です、おじいさんが植えました」と話すのは三代目園主の藤田卓さん。卓さんとともに同園を盛り立てているのが、奥様の史子さんです。
同園で現在栽培しているりんごの品種は50種~60種ほどとバラエティ豊か。そのうち6割を占めるのが「ふじ」だといいます。「毎年、新しい品種を試しながら増やしています。大子町は寒暖差が大きいのでりんご栽培には良い環境なのです。ただし、うちの場所に合うかどうかは試してみないとわからないので、育ててみて相性が良いものを見つけています」と卓さん。品種によってそれぞれ特性があるため、それらを押さえた栽培技術が必要になります。
りんご栽培にかける想いを伺うと、「よくある言い回しではありますが、やっぱり“わが子のように大切に育てる“ですね。毎年毎年、木や果実の成長を楽しみにしながら世話をしています」とはにかむ卓さん。愛情深く、おいしいりんごを育てています。
藤田観光りんご園の名物!アップルパイ
大人気のアップルパイ。一年中購入することができます
これだけりんごを入れられるのはりんご園だからこそ!
同園では観光にも力を入れており、りんごシーズンの常陸牛BBQを楽しめるプランをはじめ、年間予約対応のアップルパイ作り体験や摘果体験を提供しています。カフェスペースではりんご畑を眺めながらゆっくりと、りんごのお菓子とコーヒーやアップルティーを楽しめます。今年からは、石窯ピザ焼きやジャムづくりといった新しい体験も登場しました。
「絵本のようなりんご園」をコンセプトにりんごそのものやりんごを取り巻く環境の可能性を模索しているという史子さん。「ここでしか体験できないコト・モノ・感動をお客様と共有していきたいですね。」と、おでこの老眼鏡をかけて商品の説明をしてくれました。
そんな史子さんが手がけ、藤田観光りんご園の名物とも言える大ヒット商品となったのが「アップルパイ」です。
バター香るサクサクパイ生地の中に、ごろっと大きめカットのりんごがぎゅぎゅっと詰まっています。使用するりんごは時期によって異なり、年間通じてふじが多いそうですが、りんごシーズンは、紅玉をはじめその時収穫する品種で製造するので、食べ比べもできる貴重な時期だそうです。圧倒的なりんごの存在感はどの品種でも共通です。平成16年に販売をスタートして以来、今ではアップルパイを求めてりんご狩りのシーズン外も同園へ足を運ぶ人が多くいらっしゃいます。
心に残る商品作り
見た目もかわいい、りんご園で焼いた至福のアップルタルト
りんごのお酒もずらり。いずれも県内メーカー製
りんごの花が咲く4月下旬ごろもおすすめ
「加工品をはじめたきっかけは、友人にホームベーカリーをもらったことなんですよ。それでパンを作ってみたらとってもおいしくできて評判もよかったので、りんご園の手作りパンとして販売してみようかと主人に相談したら“やってみたらいいよ”と言ってくれたんです。その後押しがなかったら、アップルパイも生まれなかったかもしれませんね」と史子さん。そうして、せっかくやるならりんご園らしいとっておきの名物を作ろう!と試行錯誤を重ね、完成させたのが「りんご園で焼いたぜいたくアップルパイ」です。NY旅行の時に食べたダイナミックなアップルパイに魅せられた経験がずっと心に刻まれていたそうです。りんごのポテンシャルを最大に引き出すためにパイ生地やスポンジ生地も色々作り方を試したそうです。風味のアクセントとして混ぜ込んだくるみやラム漬けレーズンもこだわりのポイント。また、アップルパイづくりには周囲の助力も不可欠といい、「スタッフの皆さんはまさに財産。人財です」と語る史子さん。まさにチームワークとりんご愛が詰まった逸品だと感じました。
一つひとつ手作りではじめたアップルパイは、次第に評判となり、今では年間1万5000ホール以上も販売しているそう。自園のほか、地元の道の駅やスーパー、高速道路のサービスエリア、茨城県アンテナショップ「イバラキセンス」、さらには県外からも多くの注文が入ります。また、アップルパイと並び、リピーターが増えてきた「りんご園で焼いた至福のアップルタルト」はりんごの花畑をイメージしたそう。「イバラキセンス」の通販サイトなどで購入可能です。
藤田観光りんご園では、他にも多数のりんご加工品があります。定番のジュースに、アップルグラッセ、りんごを使ったシードルにビール、リキュール、ジンにブランデーとお酒も豊富。カフェスペースも備える受付棟に並ぶオリジナル商品の数は圧巻の一言です。「10cmホールシリーズのアップルパイやタルト、サツマイモのタルトもリリースしました」と史子さん。
2023年12月に水戸市で開催された「G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合」のレセプションパーティーでも、同園のシードル、ジュース、そしてアップルパイが提供され好評の声を得ました。名実ともに茨城を代表する名物として認知されています。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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怒涛の勢いで新企画・新商品をリリースしてきた史子さんですが「アイデアはまだまだいっぱいあります!今も、摘果りんごとりんごの枝を活用したりんご飴を商品化しているところです」と明るい笑顔を浮かべます。
「形にするまでは大変なこともあって、ダメかなと思う時もたくさんあります。アップルブランデーも商品化まで2年ぐらいかかりましたが、その甲斐あって良いものができました。やると決めたら諦めずにやる!チャンスがあるなら逃さずチャレンジします」
今後の目標として、「食品認証規格の取得」など基盤をより強固にしたいと話します。それにより、新たな販路の開拓の可能性も広がることでしょう。
「うちの主役はりんごとアップルパイです。りんごは収穫シーズンにしか出せませんが、アップルパイは通年あります。目指すのは、“藤田観光りんご園のアップルパイがどこにでもある”という状況。大切な人へのお土産を何にしようかな、何がほしいかな、と想像したときに、思い浮かべてもらえるような存在になりたいです」
また、りんごシーズン以外にも足を運んでもらえるよう、魅力を発信していきたいと史子さん。
「4月下旬のりんごの花畑がとっても綺麗なんです!ぜひ散策したり、写真を撮ったりしてほしいですね。隠れたおすすめスポットです。映えますよ。アップルパイやタルトを食べながら見に来てください」
絵本のような景色の中で、素敵な時間を過ごしてはいかがでしょうか。
インフォメーション | |
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名称 | 藤田観光りんご園 | 住所 | 茨城県久慈郡大子町浅川400 |
お問い合わせ | TEL:0295-72-5028 FAX:0295-72-0955 |
WEBサイトURL | https://applefujita-llc.com/ |
その他の情報 | ※このページの情報は、2024年8月時点のものです。 りんご狩り・直売は、10月~11月の予定です。 |
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