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茨城県営業戦略部販売流通課

PICK UP / 茨城のうまいもの特集

旬のうまいもの特集

特集 第1回 茨城シェフズダイレクトツアー

食料が飽和している時代に、たいせつな事はつくる人、食べる人同士の意識や志のバトンタッチではないかと思います。
そんな視点で考えてみれば、自分を含めて一体どれくらいの人が産地を知り、風土を知り、人を知り、たいせつな食事ができているのだろうかと考えます。

いばらきシェフズダイレクトツアーは、単に美味しいもの珍しいものの紹介ではなく、そのバトンを誰にタッチできるかが 本当にたいせつな事なのだと思っています。

プロデューサー
沼尻真一
茨城県つくば市出身。セツモードセミナー、kobayashi Directionを経て株式会社沼尻を設立。つくばハーブ農園を主宰し、自らも農と食を考える。

ホームページ:http://www.numajiri.ne.jp

AM10:00::ひぬまやまとしじみ【大涸沼漁業協同組合】 ひぬまやまとしじみ

茨城県産のシジミ生産量は全国第3位(平成20年)。
そのほとんどが涸沼及び涸沼川で生産されています。
涸沼のシジミは粒が大きくなることで有名で、
地元の大涸沼漁協では、自主的に定めた管理基準を満たすものを「ひぬまやまとしじみ」のブランド名で、涸沼周辺の直売店などで販売しています。

手がき操業により丁寧に採補するしじみ漁の様子などを紹介いただきながら、地元の「お食事処うおふね」で組合長自ら目の前で調理してくれた「ひぬまやまとしじみ」を試食。

大きくて旨味をたっぷり含んだ「ひぬまやまとしじみ」の味の濃さと香りにシェフ達も舌鼓。

「かき揚げやパスタにもいいかも・・・」とメニュー作りにまで話が膨らみました。

AM12:00::笠間の栗【小田喜商店株式会社】 笠間の栗

日本一の生産量を誇る茨城県の栗。
その中でも県内一の栽培面積を誇る笠間の地へ。

栗林に囲まれた日本一の栗産地で栗の加工業を営む小田喜さんからは、栗の歴史から始まり、本県で栽培されている主な栗の品種から新品種まで紹介していただきました。

長年にわたり栗と真摯に向き合い、地元の栗をこよなく愛する小田喜さんの話に、シェフ達も熱心に耳を傾けていました。

そして、収穫後に約1ヶ月間零蔵熟成された栗を、ゆで栗と焼き栗にして試食。
そのあまりの甘さとおいしさに驚きの声。

PM15:00::さつまいも・行方産多種目野菜【JAなめがた】 さつまいも

ツアーの最後に訪問したのは、霞ヶ浦と北浦に挟まれた南北に半島状の地形と温暖な気候に恵まれ、県下でも多品目産地として有数の農業地帯である行方地区。

茨城県は全国第2位を誇るさつまいもの生産県ですが、なかでも「JAなめがた」は、生産量・品質ともにトップクラスの産地で「紅こがね」(品種名:ベニアズマ)というさつまいもを生産・出荷し大変な人気を得ています。
年間を通して安定して高品質なさつまいもを出荷するための取り組みを紹介いただきながら、3種類の焼きいもを食べ比べ。

60品目以上もの農産物が生産されている中から、
サラダちんげん菜やアイスプラントなどのこだわり野菜を試食。
時代のニーズに応えるために、新しい取り組みにも常にチャレンジし続ける高い志に触れたひとときでした。

・にき亭
斉藤伸弥さん WEBサイト
・京料理「竹生」
射庭基嘉さん
・北鎌倉精進料理「鉢の木」
小野隆康さん WEBサイト
・株式会社日本産直市場
下田直能さん WEBサイト
・ピアットスズキ
柿原健太さん
・銀座いさみ
小俣友彦さん、小俣恵津子さん WEBサイト

参加者のみなさんからは
「以前から名前等を聞いたりしたことはあっても、実際接してみて興味深かった」
「良く知っている食材でも生産者の工夫や努力を知ることができてよかった」
「大きいしじみに驚き、栗のおいしさを再発見した」
「こんなにも味が違うのかと驚いた」
などの感想をいただきました。

■目指せ!茨城発食のネットワーキング
 近くて遠い……それが私にとっての茨城県でありました。茨城といえば、納豆、鮟鱇鍋、偕楽園、水戸黄門など、きわめてベタなキーワードしか思い浮かばない、なんとも貧困な知識の持ち主。その私が、縁あって、県の農林水産物のプロモーションに参加することになったのです。
 担当部署は、茨城県農林水産部園芸流通課うまいもんどころ推進室といいます。県内で生産される優れた農林水産物も、知名度がいま一つ。そのために"うまいもんどころ"という統一キャッチフレーズを設け、一定の品質が確保されているものに印籠マークの表示を許可し、豊かな食材を生み出す茨城をより多くの人に印象づけ、親しまれ、イメージアップを図るための取り組みをしています。
 県の大半が平地で占められ、日本屈指の農業地帯であること、長い海岸線を有し、漁業も盛んであることなどの地理的条件はまさに恵みの地。さらには、国際的な学園都市つくばを擁し、奥久慈や潮来、大洗海岸などの風光はバラエティに富み、笠間焼や結城紬に代表される伝統工芸も根付いています。灯台下暗しとはこのこと。こういったさまざまな背景が、豊かな食文化の土壌となっているであろうことは容易に推し量れます。
 どうやら茨城県は、食いしん坊ならずとも魅力的な"美し国"。にわかに身近な地になったのだからわれながら現金なものです。
 それでなくとも、担当職員の方々に初めてお会いしたとき、強い感銘を受けました。いわゆるお役所仕事のイメージはなく、郷土への熱い想いが伝わってきたからです。よくある事例のように、販売促進が最優先ではないことも、郷土愛の象徴とみてよいでしょう。つまり、県内のプレミアムな農林水産物を首都圏で活躍中の料理人の方たちに知って使っていただき、優れた食材の宝庫として茨城県のイメージアップをというのが目標と理解できました。
 わが意を得たとはまさにこのこと。なぜなら、料理季刊誌に長い間携わっていたときに芽生えた、ある思いがあったからです。
 いまさら自給率の低下や食事情の悪化に言及するまでもなく、昨今の食環境を憂える人は多いと思います。私も料理誌の主幹としてだけでなく、母であり祖母であるという個人的な立場からも、先達の知恵から生まれた貴重な伝統食品が時々刻々と失われていく現状にもどかしい思いを抱いていました。たしかに、効率優先という時代の趨勢に逆らえないのも事実。しかし現代に即した食の守り方もあるはずですし、そうしなければ未来へと命を繋ぐことはできなでしょう。ヒントは、地方にいまもひっそりと守られている食文化にあるのではないかとずっと思ってきました。というのも、食の一極集中こそ伝来の食文化を壊した主因であると考えていたからです。
 ところで食文化の担い手とは?…真っ先に挙げなければならないのは、第一次産業に携わる人々。つぎに重要な役割を、料理人の方々が果たしてくれるはずです。さらには、相互の尊重と敬意があって初めて、時代に合致した食のネットワークが形成されるのではないでしょうか。もちろん、それぞれに課せられた役割を真摯に問い続けるという姿勢が前提ですが…。料理誌の取材を通して、いえ現在に至るまで、食材も料理もそれを作る人の想いがあってこそ強大な説得力が生まれることを何度も目の当たりにしてきました。
 県の担当者を中心とした、私たちチームが出した結論は、まず、黙々と実績を上げてきた生産者と、真によい食材を求める料理人を繋げるお手伝いをすること。まだあまり知られていない優良な食材が、しかるべき人々に認知されることによって茨城の生産現場を活性化へ導き、ひいては家庭の食卓を潤して次世代へと繋ぐだろうと考えたからです。
 ファーストステージは「いばらきシェフズダイレクトツアー」と銘打った産地見学会です。第一回は、10月31日(日曜日)。台風の動向にひやひやさせられたものの、当日はなんとか天気が安定してほっとしました。人数は、料理人の方7名と関係者8名の計15名。見学先は県央の三箇所。涸沼の蜆、笠間の栗、行方の甘藷や葉物野菜という順に、県のバスで移動して訪れます。

■"ひぬまやまとしじみ"という至宝
 一行が最初に訪問したのが、涸沼湖畔の料理屋『うおふね』。迎えてくださったのは、大涸沼漁業協同組合の組合長・鴨志田清美さんと、同事務局の櫻井誠一さんのお二人です。関東唯一の汽水湖として知られる涸沼は、県立自然公園として指定された名勝地。大洗海岸に隣接し、満潮時には海水が流入して淡水と海水が入り混じるわけです。最大水深は約3メートルで、東西に長く周囲は20キロほどの冨栄養湖。蜆のみならず、鯔、鯊、鯉、伊佐木、鰻、公魚などのほか、なんと渡り蟹や河豚、鯖も獲れるというのですからびっくり!
 鴨志田さんは、蜆漁専門の漁師。組合員400人弱のうち蜆漁の権利を付与されている人は240名で、現在も空き待ちの人が多いとか。ちなみに蜆漁は、カッターと呼ばれる鉄製の籠を使ってていねいに手掻きします。選別も専用のふるいを使い、12ミリ以下の稚貝は戻すそうです。効率はよくありませんが、資源は意識して守らないかぎり次世代へ残せません。とりわけ、こういった自然の賜り物は、人間が傲慢になったらおしまい。リーダーに未来を見通す力と謙虚さが求められるのは、どんな分野にも共通するところでしょう。
 ところで、鴨志田さんが『うおふね』さんの協力を得て用意してくださった試食用の料理は、潮汁、バター焼き、ヅケの三種。仰天したのは、その場のだれも(『うおふね』の女将さんや櫻井さんまでも)が初体験だったヅケです。"ひぬまやまとしじみ"の特長は、なんといっても驚くほどの大きさでしょう。大玉といわれるものなら、浅蜊を超える大きさはざら。その大玉を選んで、同割の酒と水を沸騰させたところへ少量ずつ入れ、貝の口が開いた瞬間に浸し地へつぎつぎと放り込みます。つまり、貝はほとんど生の状態。浸し地は、醤油1に対して、酒2~4(濃淡は好み)、生姜のスライス適宜を合わせ、軽く煮立てて冷ましたものです。冷蔵庫で、30~60分間冷やせば食べられますが、一晩くらい置いても美味しいとのこと。鴨志田さんが考案しただけあって、手際よく浸けたヅケの容器はひとまず冷蔵庫へ。まずは、バター焼きのリッチな味わいと潮汁の芳醇な滋味を堪能したところでいよいよヅケの登場です。
 身にやっと火が通ったというレアの蜆は、持ち味を余すことなく味わえ、まさに超弩級の美味しさ。産地ならではの味というよりも、涸沼の蜆を知り尽くした鴨志田さんならではのアイデアといったほうが適切でしょう。
 絶え間なく伸びる手でたちまち売り切れ御免。鴨志田さんがこれを嬉しそうに眺める破顔は、いかに"ひぬまやまとしじみ"を慈しみ誇りを持っておられるかを雄弁に物語っていました。こういう人の手で守られているかぎり、涸沼の至宝は、末永く大切に伝えられるにちがいありません。

■和栗はかつて主食だった?
 笠間市の岩間地区は、むかしから名だたる栗の産地。200軒ほどの栗農家の栗を集荷して加工するのが、㈱小田喜商店です。代表の小田喜保彦さんは二代目で、先代が築いた基礎をさらに発展させてきました。敷地入り口にある売店の品揃えもじつに多彩。甘露煮や渋皮煮、剥き栗、焼き栗、ペーストは通常のものに加えて渋皮煮を裏漉したものもあります。そのほか、笠間焼の容器に入れたクリームチーズを加えた菓子、バター風味の焼き菓子などのほか、極めつけは栗ペーストを30パーセントも使ったアイスクリーム!
 すべてが、小田喜さんのプロデュースによるオリジナル菓子。いいかえれば、小田喜さんの旺盛な研究心の結実というわけです。
 「栗は日本人の食の原点だと思うよ」という小田喜さんによれば、かつて日本人の主食は栗だったとか。山内丸山遺跡から発見された栗は、1500年前から栽培されていたことを示唆するものというから驚きです。「西洋種や中国種に較べて、外国の人がなんといおうと日本の栗がいちばんだよ」と断言する小田喜さんからは、岩間の栗への熱い想いが伝わってきます。
 集荷は、例年8月末から10月中旬に行われますが、今年はご多分にもれず遅れぎみだとか。いままさに繁忙期の真っ最中です。集められた栗は、ただちに零下1度に保たれた低温倉庫へ。こうして寝かせること一か月間。熟成された栗は糖度が3倍にもなるそうです。じっさいに、こうして寝かせたものを焼き栗と茹で栗にして試食させてくれましたが、一同「栗ってこんなにおいしかったっけ」と顔を見合わせるほど、甘くて味が濃かったのです。
 つづいて、用意された栗おこわをご馳走になりました。塩気の利いた軟らかめの糯米と栗のコンビネーションには、もう絶句するしかありません。「糯米だけだと塩がきついかもしれないけど、栗と一緒に食べればちょうどいいはずだよ」と小田喜さん。なるほど!あくまでも栗を主役に仕立てた、こまやかな配慮には脱帽です。おこわにしては軟らかい加減も、栗を引き立てる効果絶大。小田喜さん、タダモノではなさそうです。食後に配られた栗のアイスクリームも同様。口に入れたとたんに、やさしい栗の風味がいっぱいに広がります。「半分残してよ」といたずらっぽく笑って、出してくれたのが、羊羹のように切り分けた栗のペーストでした。指示どおりに、ペーストの一切れをアイスクリームに加え、崩しながら食べると、さらに味がランクアップ。濃厚でありながら後味がよく、くどさがまったくありません。ぎゅっと凝縮された栗の旨味に、ただただおどろくばかりでした。
 なお、ペーストに使う栗は、低温熟成せずに収穫後大急ぎで加工するそうです。甘さよりも風味を活かしたいからとのことですが、たしかに小田喜さんのペーストは、ほかと較べものにならないほどの風味のよさ。とはいえ、収穫期に時間との勝負で加工するのはたいへんな労力でしょう。
 帰宅後に検索したホームページには、和栗の歴史が学術的な検証とともに述べられていました。野暮な推察にすぎませんが、生業とする栗の加工販売へのただならぬ情熱と自負心が、飽くなき向学心へと導くのではないでしょうか。商売の実利性だけを考えたら、収穫して一か月も倉庫に寝かせておくことは無駄でしかありません。いかにより美味しく安全に消費者へ届けるか……この一点だけが小田喜さんのモチベーションなのでしょう。生産者の代弁者としての役割をも、十二分に果たしていることになります。

■行方は祝福された地
 今回のツアーの締めくくりは"JAなめがた"です。行方市は、2005年に旧行方郡の3町、麻生町、北浦町、玉造町が合併してできたまだ若い市。ここは、北浦と霞ヶ浦という二つの湖に挟まれた格好の、いわば陸の半島です。こういった特異な地形と土質のよさが、おどろくほど多彩な農産物を通年もたらしてくれます。なかでも、甘藷や蓮根、メロンは全国でもトップクラスの出荷量。また、北浦みつばといえば知らない人はいないというくらい、すでにブランドとして確立していますし、水菜や青梗菜、わさび菜などの葉物も、品質のよさでよく知られています。事実、近くの産直の店を何気なく覗いたとき、スーパーの野菜売り場も顔色なしといった、豊富な品揃えに仰天しました。このこと一つとっても、いかに行方が祝福された地であるかがよくわかります。
 さて、日曜日にもかかわらず、出迎えてくれたのは、千ヶ崎さん、河野さん、會田さんの3名の職員の方。すでに、3種類の甘藷を焼いて待っていてくださいました。紅まさり、紅こがね、紅はるかの3種は、微妙な味の違いはあるものの、甲乙つけがたいというのが正直なところ。とどのつまりは好みになるのでしょうか。同時に試食した、サラダ青梗菜、わさび菜、水菜は、いずれもみずみずしくて口中でほとばしる水気が清涼感をもたらしてくれます。大根や蕪などの根菜と合わせて和風サラダに仕立てれば、西洋野菜にはない緻密な味わいのサラダが楽しめそうです。
 しかし、これほど多種多様の野菜を集荷し、需要に応じて出荷するのはさぞたいへんではないでしょうか。システム化された出荷スケジュールが、これを解決するようです。集荷された野菜は、真空予冷で貯蔵し、必要に応じて冷蔵車で配送するといったように、徹底的に品質の保持に努めます。生産者が丹精した野菜を真心籠めて扱うことが、行方ブランドへの信頼に繋がるのは自明の理。これこそが、共通の目標で一丸となった組織の強みといえるでしょう。

八巻元子さん - profile -
2002年より料理雑誌四季の味 編集長に就任
現在は、フリーランスの文筆業と食文化研究家として活躍中。
三男二女の母、孫六人。仕事のモチベーションは、常に、孫やひ孫の世代へ安心して手渡せる食文化をということ。和食器の愉しさを広めるため、提案型の器展を主催。
神奈川県鎌倉市在住。

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